不動産件保険 – Standard Insurance:スタンダード・インシュアランス

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。

ここ数日、不動産権保険についてお伝えしています。

タイトル会社はアメリカで不動産売買をする際にのみ登場する会社です。

通常は人生の中で何度も関わるような業種ではありませんが、あなたが所有する物件の不動産権そのものの正当性、またその保証をしてくれる会社ですから、その機能は極めて大切なのです。

不動産売買では

売主

買主

という二者が関わることになりますが、歴史を紐解くと従来の不動産取引においては常に買主の立場は非常に弱いものでした。

不動産売買そのものが簡単ではなく、その手続きや法律も難易度が高いために購入する側の方がどうしても立場が弱くなるのです。

必然的にアメリカの開拓史において有利だったのは、イギリスで不動産業に心得のある人々でした。

彼らにしてみればアメリカは新天地であり、本格的な人口流入が始まってからはいよいよ土地の獲得競争は激しさを増し、取引に心得のある者が有利に立つことが出来たのです。

そうすると最初にポジショニングを取るものは売主側に回る時もその知識差から優位に立つことが多く、特に経験と知識の少ない買主はカモにされてしまうことが頻発していたわけです。

そもそもアメリカの不動産取引においては買主を守る法律が十分に整備されていませんでした。

結果として買主の立場は常に弱く、何かしら物件瑕疵があったとしても知らされないままに取引は進み、支払いを全て済ませた後に婆を掴まされたことが発覚することも珍しくなかったのです。

そしてこのことは物件状態のみならず、物件そのものの不動産権についても同じことがいえます。

不動産に対する権利としては

Right of Possession(占有権)

Right to control the property within the framework of the law(法で定義される範囲内での物件管理)

Right of enjoyment(法に沿って物件を利用する権利)

Right of exclusion(他人による物件への侵入や利用を拒む権利)

Right of disposition(物件を売却、相続、譲渡、あるいは放棄する権利)

の5つがありますが、このいずれかの権利に不具合がある場合、そのオーナーには100%の権利はないことになります。

そうすると物件の状態うんぬんを語る前に、不動産権そのものが自分になければ持ち主にとっては物件所有そのものが危うくなってしまいます。

そこで不動産権瑕疵の有無を調べる役割を果たすのがタイトル会社ですから、物件を購入する際にはタイトル会社を通じて不動産権調査を行うことが必須となるのです。

この不動産権調査の段取りは各州あるいは各地域市場ごとに段取りの仕方に違いが見受けられますが、もしもあなたが売買する地域市場では契約期間中に自分自身でタイトル会社を雇う必要がある場合、必ずタイトル会社を自分で選んで調査を行うようにしましょう(通常はエージェントが案内します)。

そしてタイトル会社としては不動産権に問題がないことを確認すると雇い主であるあなたにGoサインを出してきますが、タイトル会社は不動産権調査と同時に万が一の保険も提供しているのです。

今日は、タイトル会社が提供する中で最も基本的な保険となるStandard Insurance(スタンダード・インシュランス:標準保険)についてお伝えさせて頂きます。

Standard Insurance(スタンダード・インシュランス:標準保険)

スタンダード・インシュランスはタイトル会社が不動産権に対して提供する最も基本的なプランです。

昨日お伝えしたとおり、このスタンダード・インシュランスはクロージング時に目にするSettlement Statement(決済明細書)の項目にすでに含まれている場合がほとんどです。

そしてスタンダード・インシュランスが補償対象とするのは

「物件購入期間中に発生した不具合」

のみ。

オファーの受領による購入契約の開始 〜 クロージング

この契約期間に限定して、この期間中に発生した不動産権に関する不具合があればこのスタンダード・インシュランスが面倒をみてくれます。

「契約期間前後の問題については責任を取りませんが、少なくとも契約期間中に発生した問題であれば責任を取りますよ」

これがスタンダード・インシュランスの定義になります。

契約期間中の不具合とは例えば、

Signed by an incompetent person(判断・責任能力のない者による署名)

この意訳はやや分かりにくいと思いますので補足しますと、例えば認知症をお持ちの高齢者の場合が典型例です。

初期の認知症では、本人はおろか周囲の親族でも分からない程度の方も多くいます。

そうすると売主と血縁関係にないリスティングエージェントは自分にリスティングを依頼してくる売主が認知症を発症されていることに気づかない場合があります(特に売主が一人暮らしの場合)。

そして売主に依頼されるままに物件売却に進み、クロージングまで済ませた後で買主が新オーナーとして入居した後で問題が出てくる場合があるのです。

このような自己責任能力の乏しい売主が自分でもよく分からずに署名してしまった場合、売買契約期間中に発生した不具合としてスタンダード・インシュランスが補償してくれることになります。

Forged sign(偽造署名)

親族間で不動産権について揉めることはよくある話です。

悪質な場合、不動産権を有するオーナー本人ではなくその親族が勝手に物件を売りに出す場合があります。

クロージング時にWarranty Deed形式で移管される不動産権においても、そこに署名をしたのは実は本当のオーナーではなく、その署名が偽造されたものである場合があるのです。

結果として後から発覚してトラブルになり、お金を払い込んでしまった買主の不動産権の有効性が問われることになります。

けれどもこのような場合もまた、契約期間中に発生した不具合としてタイトル会社がスタンダード・インシュランスの範囲で補償してくれることになるのです。

とはいえ、実際にはこの偽造署名はアメリカ不動産取引では発生率は極めて低いものです。

日本でいえば地面師の働きがこれに相当すると思いますが、そもそもアメリカ不動産市場では取引システムがガラス張りに整えられており、早々に騙せる環境にはありません。

。。。

かくしてこのスタンダード・インシュランスを使用せねばならないパターンはほとんどありませんが、心の安心の意味でもクロージング時に課金されるスタンダード・インシュランス料金はそのまま購入した方がよいと思います。

明日に続けます。



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