キャップレートは高いほうがいいとは本当か? ~後編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサル タントとして働く佐藤です。

ここ数日、

Capitalization Rate(キャピタリゼーション・レート:キャップレート)

についてお伝えしています。

昨日は「実質利回りは高い方がリスクが高い」という側面に注目し、同じ条件の商業ビルを同業者である

USPS(アメリカ合衆国郵便公社)

FedEx(フェデックス・コーポレーション)

で例えてみました。

キャップレートが

キャップレート = 純利益 / 物件市場価値

この公式で算出される以上は

「出る(支出)を押さえ、入る(収入)を増やす」

というシンプルな原則に従って企業努力を続けるFedExの方が利益を大きくする傾向があるのは当然のことです。

結果として上記の公式で分母の物件市場価値が同じ商業物件に入居していたとしても、分子を大きくするFedExに軍配が上がりそのキャップレートは大きくなります。

けれども利益という観点ではFedExに軍配が上である一方で、同時にリスクという観点でもFedExの方が高くなるものです。

USPSの場合は国策と税金により支えられていますから、どちらかといえば緩い運営になりがちな結果としてキャップレートも下がってくるでしょう。

けれども良くも悪くも、 USPSの場合は(テナントであるUSPSが退去する)リスクが低いということでもあるのです。

結果として、商業物件への投資の意味ではキャップレートが低いはずのUSPSの方が安心ということになります。

そしてこの原理は住居用物件への投資でも同じことです。

住居物件への投資でもその利回りを計る尺度として実質利回りがありますが、その公式は

実質利回り = (年間家賃 – 年間諸経費)/ 物件購入価格

とキャップレートの公式と酷似しています。

違いがあるのはキャップレートの場合は常に計算する時点での対象商業物件の市場価値を分母に置くのに対し、実質利回りの場合は分母は常に物件購入価格を据え置くという点です。

そして前述のようにその数字の背景にある意味合いはキャップレートも実質利回りも変わらず、「割合とリスクは比例する」という関係にあるものです。

そこで今日は、実質利回りとリスクの関係を実例を交えながらみていきましょう。

実質利回りが高い = リスクが高い

最初に本質を考えてみましょう。

かなりの部分、不動産投資の世界では

「実質利回りが高いのはいいことだ」

このように真しやかに語られている部分があります。

世にある不動産投資関連の本でも、おそらく「実質利回りが高いのはいいことだ」という前提で語られる説明が多いのではないでしょうか(個人的な推測です)。

そしてここはあくまで佐藤の憶測ですが、このように「実質利回りは高い方がいい」と信じられている理由は

利息

実質利回り

この二つの意味が混同されているからではないでしょうか。

分かりやすい例でいえば

預金金利 2%

預金金利 3%

このいずれを選びたいかといえば、当然後者です。一万円預けた場合には

200円(10,000円 × 2%)

300円(10,000円 × 3%)

と、金利に応じて利息は上昇していきます。

けれども預金金利から生じる利息の本来の意味合いは「お金の使用料」ですから、

お金を借りた人は謝礼に利息を渡す

お金を貸した人は謝礼の利息を受け取る

これ以上でもこれ以下でもなく、金利が高いほど大きい利息で儲けが出るのは当然のことです。

これに対して、実質利回りの場合はその本質と意味合いが全く違ってきます。

実質利回り 5%

実質利回り 6%

実質利回り 7%

これら実質利回りが高いことと投資の成否とは比例しないのです。

以前何かの拍子で見た、とある不動産投資関連ブログの宣伝文句がありました。

「表面利回り15%、実質利回り12%以上!!」

このような煽り文句を目にした途端、

「ああ、このブログを書いている方は自分で投資したことがないんだろうな」

と思ってしまうものです。

明らかにこの謳い文句は高い実質利回りは良いことという前提で書かれています。

そしてその成績はどうかといえば、実際には「利益率が高いが、リスクも高い」というものです。

下記にほぼ実例に近い数字で書きます。

物件価格:$55,000

年間家賃:$9,600

諸経費:$2,800

12.3% = ($9,600 – $2,800) / $55,000

このように実質利回りは確かに12%を超えますが、得てしてこの手の宣伝では

— 物件年数

— 物件状態

— 物件が立地する地域

— 治安

等は語られていないものです。

私(佐藤)も米国内のどのあたりの地域でどのような事例があるかを相当数把握しているつもりですが、上記にほぼ当てはまる物件の共通項は

・購入時点で問題が隠されている(相当ぼったくられている)

・治安が劣悪

・物件価値は下がる傾向

・テナントによる物件破壊行為の発生率が高い

・管理会社がまともに働かない(遠隔操作ではにっちもさっちもいかなくなる)

というものであり、明らかに「リスクが高い」のです。

このような地域の物件はいくら実質利回りが良かったとしても最初からスルーしなくてはいけません。

一方で上記実例と同じ地域にある、実質利回り6%台の物件の成績を数字で見てみましょう。

  • 実質利回り 6%
  • 年間純利益 195万円
  • 年間節税効果 325万円
  • 年間実質投資効果 520万円

この物件は先の実質利回り12%の物件と比較しても

・即賃貸が開始できる物件状態

・治安抜群(学区9~10)

・年間キャピタルゲイン10%前後

・テナントの家賃未払い発生率が極端に低い

という条件です。

節税効果を省いた純利益だけでも195万円ですから、多少費用のかさむ修繕が発生したとしても損失をキャッシュボリュームで十分に吸収してしまいます。

とどのつまり、

実質利回り12%

実質利回り6%

と実質利回りとしては明らかに前者が高いのに、投資としては圧倒的に後者が成功しているのです。

定義づけると

実質利回りが高い = リスクが高い

であることは間違いないと思います。

実質利回りの数値がどのあたりに落とし込まれるべきかは地域市場によって違いが出てきますが、少なくとも

「実質利回りが高いのはいいことだ」

これが迷信であることは間違いないのです。



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