物件差し押さえも州毎に事情が違う話 – カリフォルニアの場合

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

アメリカ合衆国では法律が州毎に違いがありますが、その結果として必然的に不動産法でも州毎に違いがあります。

不動産法に関して言えば、まずあるのが連邦政府が定める不動産法です。

この連邦政府が定める方はコモンロー(Common Law)と呼ばれ全米で共通するルールとなります。

その連邦政府の次が州法です。

不動産業界においても州内の不動産関係を取りまとめる不動産協会なるものが州毎に設置されています。

この州をとりまとめる不動産協会にはコミッティ(委員会)が設置されており、そこで州全体に適用される不動産法が決議されるのです。

そしてその州内でも、今度は各地域においてそれぞれの市場を取りまとめているのが複数の市からなる郡(County)となります。

この郡においてもまた、独自に定められる規定が出てくるのです。

ここまでの体制を上から並べると

連邦政府

州政府

ですが、ここで興味深いのは法律・規定の適用優先順位です。

前述のように連邦政府、州政府、郡のそれぞれにおいて法律・規定が定められていますが、

「同じ事柄に対して三つの法律・規定がそれぞれ違う場合、どれが優先されるの?」

という疑問が出てきます。

このことを考えると何となく優先順位としては

1.連邦政府

2.州政府

3.郡

となりそうですが、実際には法律・規約の適用についての優先順位は

1.郡

2.州政府

3.連邦政府

と最も身近な郡が最も強く順番が真逆なのです。

「州政府の規定は連邦政府の法律よりも優先され、郡の規定は州政府の規定よりも優先される」

ということになります。

最低限の土台になるコモンローは定めつつも、あくまでも州単位、あるいは郡単位の自治力を認めているところはアメリカらしい特徴です。

短い歴史の中でも広い大陸を治める上ではギリギリまで地域単位に自治を認める、という方針で整えられてきたアメリカ合衆国の特徴が不動産業界にも垣間見えますね。

差し押さえ物件に対するルールも違う

かくしてアメリカの不動産と一絡げに言っても、適用される法律は州毎に違いが出てきます。

その一つが「差し押さえ物件」についてのルールです。

アメリカ全土どこの州のどの地域を見ても差し押さえ物件が市場に出ているわけですが、その差し押さえ物件に適用されるルールには違いがあるのです。

このことは差し押さえ物件となってしまう手前、モーゲージの支払い遅延の段階から違いが見受けられます。

カリフォルニア州の場合、

「モーゲージの支払いが『遅延』として認定される」

このタイミングは

連邦政府(コモンロー) … 10日間

カリフォルニア州政府 … 15日間

です。

どちらが優先されるかといえば、冒頭にお伝えしたとおりでカリフォルニア州政府(カリフォルニア不動産協会)が定める15日間が優先されることになります。

すなわち、カリフォルニア州で物件を所有している方々はモーゲージの支払いが例えば12日間遅れたとしても「遅延認定」までには至らず、15日以内に支払えば記録に傷がつくことはないわけです。

ところがモーゲージ支払いの遅延が15日以上になると法的に「支払い遅延が確定」となり、貸し手である債権者は次の行動を起こすことが出来るようになります。

次の行動とはすなわちforeclosure(物件の差し押さえ)であり、債権者は差し押さえに向けて段取りを進めることが出来るようになります。

差し押さえには二つの種類がある

そこでまず理解しておきたいのは、物件差し押さえには二つの種類があるということです。

その二種類とは「Nonjudicial foreclosure(裁判所を通さない差し押さえ)」「Judicial foreclosure(裁判所を通す差し押さえ)」です。

Nonjudicial foreclosure(裁判所を通さない差し押さえ)

まずNonjudicial foreclosure(裁判所を通さない差し押さえ)ですが、現在のカリフォルニア州ではほとんどがこのNonjudicial foreclosureが適用されています。

このNonjudicial foreclosureが適用されるのは、不動産権譲渡に

金融機関等の債権者(Beneficiary:ベネフィシャリー)

融資を受ける債務者(Trustor:トラスター)

信任者(Trustee:トラスティ)

の三者から構成されるTrust Deedが適用されている場合になります。

(*現金購入の場合は借金がゼロですのでTrust Deedは登場しません)

そして一番のポイントはこのTrust Deed内に含まれているはずの条項、「power-of-sale clause」です。

「power-of-sale clause」とは債権が債務不履行に陥った場合、直ちにその担保となる物件を差し押さえて市場に売りに出せる権利をいいます。

この「直ちに」がポイントですが、Trust Deed内の「power-of-sale clause」を行使すると裁判所手続きを通さずに物件を市場に出せることになるのです。

Judicial foreclosure(裁判所を通す差し押さえ)

反対にJudicial foreclosure(裁判所を通す差し押さえ)の場合、裁判所から物件差し押さえによる市場での売却にあたる許可を得る必要が出てきます。

このJudicial foreclosureが発生するのはTrust Deedを使用せずに通常のモーゲージ契約形態で融資を引き、その借用契約書に「power-of-sale clause」に関する条項がない場合です。

この「power-of-sale clause」なしには、物件を差し押さえるには裁判所の手続きを踏む必要が出てきます。

そして一旦裁判所の手続きを開始してしまうと事が進むまででには時間とお金がかかってしまいます。

これが理由で、カリフォルニア州では融資が絡む不動産取引には「power-of-sale clause」が仕えるTrust Deedの使用が好まれるのです。

明日は、カリフォルニア州における差し押さえの一連の流れについて深堀してみましょう。



アメリカ不動産投資 初心者の皆様へ

無料の定期メルマガ「アメリカ不動産投資の旅」をご希望の方は、下記よりメールアドレスをご登録ください。

初心者目線に落とし込んだ投資情報を定期的にご連絡させて頂きます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

本項に関するご質問はこちらからどうぞ。

共有をありがとうございます