テナントからの訴訟について考えてみる

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

昨日は文明国の行きつく先に見られる傾向と、その典型である訴訟について言及してみました(あくまで個人の意見として)。

「国民の権利主張が強まるにつれて、人口に対する訴訟の割合は高くなる」

これはどこの国にも当てはまるように思います。

ここではその良し悪しの評価は避けますが、実際にここアメリカでは訴訟大国と言われるようになってかなり久しいものです。

アメリカだからでというわけではなく文明国はすべからく同じような道を辿る傾向が出てくると思いますが、少なくとも先んじているアメリカで訴訟が多いのは事実です。

私たちリアルターの場合も職務上で訴えられた場合の保険として「Errors & Omissions Insurance」というものに加入することが出来ます。

Errors = ミス

Omissions = 怠慢

Insurance = 保険

で、意訳するとすれば「職務上の手続きミスや怠慢で発生した訴訟に対する保険」あたりでしょうか。

これについてはアメリカのみではなく日本でも「専門職業人賠償責任保険」なるものがありますし、不動産業界でも同義として「宅地建物取引士賠償責任補償制度」があると思います。

いずれにせよ、不動産業もまたいざ訴訟を起こされた時の為に保険を持たねばならない職務環境にあることは間違いありません。

そして不動産投資(賃貸事業)における訴訟で典型的なものとしては

「家主がテナントを家賃滞納で訴える」

場合があります。

厳密には訴えるというよりは、法的な整備がなされていて手続きもエスカレーター式に進むとは昨日お伝えした通りです。

そして今日スポットを当ててみたいのはこの反対の「テナントが家主を訴える」場合。

このテナントからの訴訟は家主による家賃滞納への行動とは違いどのようなパターンがあるかは分かりませんから、その手続きも決まった型があるということはありません。

けれども一つハッキリしているのは、当然ながらテナントが家主を訴える時は「生活環境・空間に不満を抱いた時」です。

やや生々しいを実例で見ていきましょう。

生活環境に不満を抱いたパターン

2016年のこと。ルームメイトであるAさんとBさんは共に家主のCさんを訴える行動を起こしました。

訴訟理由は

「生活環境が整えられていない場所での賃貸生活を強いられた」

というもの。

もともと共通の知り合いでもあったCさんはAさんとBさんの二人が住を探している時に二人に対して

「僕の家のガレージで暮らしたらいいよ」

と自宅のガレージを生活場所として提供したのでした。

そしてガレージの面積から物件が立地しているエリアの面積当たりの単価で計算し、アパート賃貸と同様の家賃収入を得ていたのです。

もしもあなたがアメリカで賃貸行為を行う場合、その賃貸契約書の中でほぼ確実に目にする言葉があります。それは

「habitability:居住性、暮らしに適した環境」

という単語。

物件を賃貸用として人に貸し出す場合、この「habitability」は保証されている必要があります。

AさんとBさんは当時クレジットスコアが非常に悪く、きちんとしたアパートで暮らすことが出来なかった為にガレージを住居とする提案を飲まざるを得なかったのでした。

けれども賃貸契約として家主とテナントの双方が認識し、家賃が支払われる以上は確実に「賃貸行為」であり、法律上はそこに「habitability」が問われることになります。

かくしてAさんとBさんの二人は最初こそ我慢していたものの、

シャワーもない

空調もない

まともに電気も取れない

と、ついに不満を爆発させて家主を訴える行動に出たのです(そもそもガレージを居住とすることに無理があるのですが )。

原告側の要求としては

「賃貸スペースとして全く機能していない、劣悪な環境での生活を強いられた」

として

・家賃の返金

・法律上の罰金

・実害の請求

・引越し代

・懲罰的損害賠償

・弁護士費用

等全てを合わせて、何と$825,000.00を要求してきたのでした。

1ドル100円で単純計算して八千二百五十万円ですから、その額に驚いてしまいます。

そしてこのケースでは二ヵ月後に

Aさんに対し$390,000.00

Bさんに対し$65,000.00

の支払い命令が出たのです。

当然ながらテナントはこれを不服とし上告します。

上告後に状況が二転三転するのですが、割愛して結論だけをお伝えすると

「家主は合計$103,125.00を支払うこと」

という最終判決になったのです。

これだけでもかなり大きな金額ですし、中西部あたりでキャッシュフロー型の物件が買えてしまう程の額。

。。。

上記はやや極端な実話ですが、いずれにせよ冒頭にお伝えしたようにテナントが家主を訴えるパターンは十中八九「生活環境・空間に不満を抱いた時」です。

先の言葉でいえば「habitability」がきちんとしていれば何ら問題はないのですが、テナントが「habitabilityが整っていない」と捉えて話がこじれていくと訴訟問題に発展してしまいます。

過分な要求に対して全てを応える必要はないのですが、あなたがアメリカで不動産投資を行う場合はこの「habitability」は確実に押さえておきましょう。



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