住宅価格がついに下がった(2019年8月)

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

つい先日、カリフォルニア州の不動産市場が鈍化するだろう傾向についてお伝えさせて頂きました。

このことは単なる推測の類ではなく、

・カリフォルニア市場のほとんどのCounty(郡)で物件購入数が過去一年以上に渡り前年比を下回り続けている

・ロサンゼルス郡のように一部の地域では人口が現象し始めている

これらの事実を捉えてその方向のままにベクトルを先に向けると、「カリフォルニア市場は爆発的に成長し続ける」とはお世辞にも言えない事実が見えてくるのです。

そしてこの項を上げた同時期に、今度は全米の物件価格について先月の2019年8月度までの統計が全米不動産協会から発表されました。

それによると、なんと

「2019年8月、全米の物件価格平均は下げに転じた」

このように発表されています。

少し背景について触れると本年はFRBの金利政策により一気に金利が下がり始め、ここに利を見て住宅業界でもにわか元気が出てきていました。

この勢いで2019年夏のピークタイムに突入し、盛り上がる住宅市場の中で人々は狙いを定めていた地域の物件購入に躍起になり、新しい年度初めが9月に始まるまで市場は本年も盛り上がる、、そんな風に全米各地の不動産市場で予想されていたのです。

ところが蓋を開けてみると、2019年8月の住宅価格は先月比で1.8%下がり全米平均が$309,000になるという結果でした。

アメリカでは約10年前の不動産価格暴落から住宅価格は下がり続け、2012年あたりに底値を売ってからは住宅価格は上昇の一途でした。

最近は物件価格の上昇に高騰感があったことも事実ですが、それでも米国経済の成長と増え続ける人口を背景に物件価格は上昇し続けていたのです。

それがこの2019年8月ついに全国平均の住宅価格が下がるという現象が現実のものとなりました。

つい先日、

「それまでとは違う値動きの兆候があったとすれば、そこに鈍感になるわけにはいかない」

とお伝えしましたが、今回2019年8月に確認された物件価格の値下がりは非常に大きな意味合いを持つと思います。

2019年8月は少なくともアメリカ不動産市場にとってはその歴史の中でも確かに記憶されるだろう月となりました。

2007年に不動産価格の暴落が始まってから、実に12年目のことです(このサイクルは覚えておきましょう)。

物件価格が下がった原因

かくして2012年から過去約7年間上昇し続けた物件価格はここに一つの転換点を迎えましたが、その背景にはどのような原因が考えられるのでしょうか。

まず、物件価格が下がった一つの大きな原因ははっきりしています。

このことはつい前日カリフォルニア州の市場を例に上げた通りですが、カリフォルニア州でも過去一年以上にわたり物件購入者の割合が前年比でどんどん少なくなってきていました。

そして物件購入者が減るということは、当然ながらその影響は物件価格そのものに直接影響してきます。

つまり先月8月に確認された物件価格がついに下げに転じた事実は一過性の現象ではなく、近年の物件購入世帯の減少が如実に反映されているわけです。

不動産市場は本質的に流動性が低いという特徴があります。

大型タンカーに例えてみると分かりやすいのですが、大型タンカーの舵を大きく右に左に切ったところで大型タンカーが小型船のように急に右や左に方向転換することは不可能というもの。

けれども時間が経つにつれ、右なり左なりに大きく切った舵が効いてくるものです。

不動産市場の変化も同じような特徴があり、物件価格は人々の心理を起因とする行動に大きく影響されてきます。

結果としては案の定、過去一年以上に渡り確認されていた物件購入数の減少がボディーブローのようにジワリジワリと効いてきて、ついには不動産物件価格の勢いが下がるのみならずこの8月に地に膝をついてしまったと思われます。

それにしてもこのことがただ事でないのは、

・8月は一年の不動産サイクルの中でもピークタイム

・金利は4%以下に下がっていた

という条件の中でも8月は物件価格が下がったという事実です。

特に金利の下げについてはテキサスのような南部ではかなり歓迎され、今夏も昨年と全く変わらない勢いで物件は売れ続けていました。

けれどもアメリカ全体として見ると、金利の下げはそれほど効いていなかったということです。

多くの関係者の間では

「低い金利の影響もあって2019年夏は最後まで市場は元気がいいだろう」

このような予想がなされていた中、結果は全くの正反対となったわけです。

アメリカ人は次の景気後退を警戒している

そしてここから、好条件の中にあっても物件価格が下がった理由について読み解いていきましょう。

近年の中では好条件なはずの低金利にも関わらずアメリカ国民が物件購入を控えている理由はズバリ、

「次の景気後退を警戒している」

からに他なりません。

ご存知のとおり世の中の景気サイクルは人の手でコントロール出来るものではなく、あたかも自然の摂理のように一定のサイクルで繰り返すものです。

アメリカでは来年の2020年から次の景気後退に突入する可能性が高い、と見られています。

そうすると今物件を購入したい人々にとっても流石に来年以降に景気が下がる見込みが高い状況では

「今は様子をみたほうがいいな」

という判断になるわけです。

人々の心理には

4%以下の金利 < 予想される景気後退への警戒

この構図がはっきりと読み取れます。

このように自身の行動を制限する予想を英語で「self-fulfilling prophecy:自己充足的予言」といいますが、アメリカの全国不動産協会の統計によるとこのself-fulfilling prophecyの傾向が最高潮に達すると

「物件購入を予定していた人々の56%は、物件購入を見送るだろう」

とも予想されています。

今までの流れであれば購入していたはずの人々の半分以上が買い控えるとなれば、不動産市場へのその影響は甚大なものになることは疑いようがありません。

。。。

かくしてアメリカ不動産市場は今、新しい局面に入ったことは事実。

一年以上に渡り続いてきた購入者減少の影響はここからも効き続けてくるでしょうし、来年の景気後退が現実化してくるとその影響は更に先まで続くことが予想されます。

もしもあなたが今アメリカ西海岸等のキャピタル市場に物件を所有して売却を考えていた場合、多少の値下げをして今のタイミングで売り抜けることを検討してもよいかもしれません。

長期に渡り保有されている方であれば十分なキャピタルは得ているでしょうし、ここまでにご紹介している統計を俯瞰すると「そろそろ売却したい」と考えていた方にとっては今が潮時ではないでしょうか。

バイ・アンド・ホールドの方はそのまま所有して問題ありませんが、来年以降は途中で中途半端に売却しない覚悟が必要だろうと思います。

明日に続けます。



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