Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)とは 〜 後編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

昨日からAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)についてお伝えするにあたり、まずはContingency(コンティンジェンシー)の意味そのものについて言及しています。

Contingency(コンティンジェンシー)という言葉そのものが日本語に直訳しにくいのですが、あえて日本語的にニュアンスを伝えるとすれば

「あいまいで未だ判断がつかない状態」

でしょうか。

この言葉を不動産用語的に使えば

Financial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)

⇒ 融資が下りるかどうか分からない(銀行にて審査中)

Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)

⇒ 物件の状態がこのまま契約を進めて良い状態か分からない(専門家による物件調査中)

という具合に、それぞれが未だ判断がつかない状態・期間をいいます。

そしてそれぞれの曖昧さがなくなり、

融資が下りることになった ⇒ 契約続行

物件の状態が明らかにされ、売主と折り合いがついた ⇒ 契約続行

と、契約が続行できる状態になることを

“The contingency is satisfied. (不確実な要素は満たされた ⇒ 問題は解決された)”

と言います。

ここまでContingency(コンティンジェンシー)の意味の説明に費やしてきましたが、大切なのは

「不動産取引におけるContingency(コンティンジェンシー)は買主を守る為の条項」

であるということです。

そこでAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)の場合もその趣旨は同じになります。

今日は、例文を使いながらAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)の概要を捉えていきましょう。

Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)

Financial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)

Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)

と共にアメリカ不動産の売買契約書にその用語を連ねるAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)。

この不動産用語が入る条項の目的は

「物件価格が適切かどうか不確かな状態において、売値が適正価格かを買主に判断させる猶予を与える」

ことです。

このことをここまでのお伝えに添わせると

Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)

⇒ 物件価格が適正価格かあいまいで分からない状態(不動産鑑定士を雇う)

となります。

ここで例文を使って解釈してみましょう。素材はこちらのサイトを使ってみます。

内容は農地の売買に関するAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)です。

6. APPRAISAL CONTINGENCY.

This Agreement is contingent upon Buyer obtaining from an reputable farmland appraiser, certified in the state where the Real Estate is located, experienced in farmland appraisals according to the Federal Agricultural Mortgage Corporation’s requirements, and acceptable to Buyer, an appraisal (the “Appraisal”) valuing the Real Estate at no less than the Purchase Price. If Buyer has been unable to obtain such an Appraisal, and Buyer serves written notice of such circumstance to Seller within the Inspection Period, Buyer shall have the right to unilaterally terminate this Agreement by serving written notice to Seller within the Inspection Period. In case of termination of the Agreement pursuant to this Section 6, the Earnest Money shall be returned to Buyer and neither party shall have any further obligation or liability under this Agreement.

出典:lawinsider.com

“This Agreement is contingent upon Buyer obtaining from an reputable farmland appraiser”

・この同意書は不確実性をもつ

・買主が定評ある鑑定士による農地鑑定において

ここはニュアンスでさっと捉えましょう。要は今の時点では「農地の価値があいまいで不確実な状態の同意書」であり、売主は鑑定士を呼ぶ権利があるということです。

そして、

“an appraisal (the “Appraisal”) valuing the Real Estate at no less than the Purchase Price.”

ここが最も大事です。

appraisal value = 鑑定結果の価値

Purchase Price = 購入価格

すなわち、鑑定後に出てくる農地の実際の価値が「購入価格と同等もしくはそれ以上」です。

(「no less than」は日本語で簡単に言えば「それ以上」)

“If Buyer has been unable to obtain such an Appraisal, and Buyer serves written notice of such circumstance to Seller within the Inspection Period, Buyer shall have the right to unilaterally terminate this Agreement by serving written notice to Seller within the Inspection Period.”

このことが証明されなければ売主は物件調査期間中に売主にその旨を書面で伝え、

“Buyer shall have the right to unilaterally terminate this Agreement”

売主が一方的に買主に対してこの同意書を終結、購入契約を打ち切ることが出来る、と示されています。

これがAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)の本質です。

このことは住居用物件でもそうですが、売主から出されている売却価格は誰が決めているのかといえば他の誰でもない売主自身です。

すると買主としては本当にその言い値分の価値があるか分かりませんから、不動産鑑定士を雇って実際の価値を調べる権利が与えられているわけです。

もしも鑑定結果で「購入価格と同等もしくはそれ以上」ということであれば、買主は高値掴みをしないことになりますから安心して契約を継続できることになります。

実際の価値が売主の言い値よりも低かった場合、買主は無条件に同意書を破棄してEarnest Money(手付金の同義)もそのまま戻ってくるのです。

もちろん鑑定結果の価値が売主の言い値よりも低かったとしても(すなわち高く値付けされていたとしても)、買主自身が望むのであればそのまま契約を前に進めることは出来ます。

その場合、買主としては鑑定結果を売主に見せることで自信をもって価格交渉に臨めるわけです。

かくしてAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)もまた、買主を守る為の条項であるということになります。

そしてこの条項は通常、住居用物件の売買でも購入契約書に明記されています。

住居用でもまた不動産鑑定士を雇うことで本当の物件価値を調べ、実際の価値よりも高い時には無条件に契約を破棄することが出来るのです。

とはいえ、実際の契約現場ではこのAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)を行使する買主はそう多くはいません。

通常は買主のサポーターとなるバイヤーエージェントがデータベースからその物件価値を見定めるのに十分なデータを引っ張ってきてくれますから、大抵の買主はわざわざ不動産鑑定士を雇うことなくバイヤーエージェントからのデータだけで判断できるからです。

反対に本項の例のような農地あるいは商業物件の場合は価値の判断は難易度が高い為、この時には不動産鑑定士を雇って本当の価値を見定めることが推奨されます。

第三者の専門家からの鑑定結果をもって契約を継続するか、あるいは高値の場合は価格交渉にもっていくかを選択できるわけですから、この条項があるおかげで買主は随分守られていることになります。

もしもあなたが農地や商業物件の売買に関わる必要があれば、確実にこのAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)は行使するように心がけましょう。



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