Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)とは 〜 前編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

物件契約を進める中で、英文の契約書内容についてご質問を頂く機会が頻繁にあります。

全米の各州にはそれぞれ州内の不動産業界を取り仕切る不動産協会が存在していますが、売買契約ではそれら各州の不動産協会が定めた売買契約書のテンプレートが使用されています。

厳密にはこのテンプレートを使用する義務は法律上はありませんが、通常は購入時であれ売却時であれ、エージェントを雇う場合は

リスティングエージェント(売主側)

バイヤーエージェント(買主側)

共に、彼らはテンプレートを使用することが義務付けられています。

そしてこの各州のテンプレート型の契約書の中に大抵は

「Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)」

という言葉を含む条項があります。

用語の意味と条項全体の意訳を質問されることが多い不動産用語の一つです。

各単語を分解して直訳・意訳すると

Appraisal = 評価・評定

Contingency = 不確実性

となります。

この「Contingency(コンティンジェンシー)」という言葉は不動産売買取引の中でも頻繁に登場してきますので、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

そして上記にContingencyを「不確実性」と意訳しましたが、別の表現でいえば

「このまま契約を進めるのに十分な条件を満たしている分からない、あいまいな状態」

というニュアンスが適切だと思います。

例えばContingencyには

Financial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)

Inspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)

等がありますが、Financial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)の場合はローンを組んで物件を購入する場合の「融資審査」がそれに該当します。

いわゆる、

「金融機関による審査中で、実際に融資が下りるかまだ分からない状態」

です。

後の審査結果でもしも「この買主(融資申請者)への融資は却下」と判断された場合、買主は資金がなくて購入することが出来ませんからその結果をもって契約は「Void(無効)」となるわけです。

物件を現金購入する買主を売主が好む傾向があるのはこの為で、現金購入の場合はFinancial Contingency(ファイナンシャル・コンティンジェンシー)そのものがなくストレートに契約を先に進めることになります。

その一方でInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)の場合、売買契約期間中の定められた日数以内に買主は専門家を雇って物件調査を行うことが出来ます。

大金をはたいて物件を購入したところ

「屋根に複数の穴が開いていて、雨の日には雨漏りが酷い」

「バスタブと床の間に穴があり、バスタブから飛び出た水が沁みこみ続けて床下が腐食していた」

といった物件瑕疵が後から見つかったとしたら。。

買主はオーナーとなった後にすぐ数千ドルを費やす羽目になってしまいかねません。

そこで買主がババを引かないように契約書内にはInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)に関する条項が加えられており、

「物件が購入するにふさわしい状態がどうかまだ分からない状態」

と定められたこの期間中に物件調査を行い、もしもその結果による交渉で売主と折り合いがつかなければやはり契約は「Void(無効)」となるわけです。

これら二つの例でも分かるとおり、アメリカ不動産取引におけるContingency(コンティンジェンシー)は明らかに買主を守る為の条項なのです。

Contingency(コンティンジェンシー)の目的は買主を守ること

根本的に不動産売買においては

売主

買主

のどちらが有利かといえば、物件のことを隅々まで知り尽くしている(はずの)売主が有利に決まっています。

物件状態などはその最たるもので、売主はそれまでに自分が住居用として使い続けていた物件ですから「物件のどこどこにどんな不具合がある」など、大抵は分かっているものです。

例えば

「雨が降る日にはコーナーにある部屋の床に外から入り込んだ雨が染み込んでくる」

という不具合があったとしましょう。

その入り込んだ水のシミが何かでカモフラージュされたいたとしたら、買主は全く気づかないかもしれません。

物件購入後に自分が入居した後の雨の日に初めて、その不具合に気づくわけです。

売主に文句をつけようにも物件はすでに自分の名義になっていますから後の始末。

このパターンで後から売主に連絡を取ろうとしてもなかなか難しいものです。

このようなトラブルを防ぐために前述のInspection Contingency(インスペクション・コンティンジェンシー)は存在しており、この権利があるからこそお互いが同意する売買契約の一定の期間、

1.専門家を使って物件を調査する

2.その結果をもって売主と交渉する

3.交渉の折り合いがつかない場合、契約は無効(手付金要素のEarnest Moneyはそのまま返金される)

という流れが可能になります。

そしてこのことはAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)についても同じことがいえ、あくまでもこのコンティンジェンシーは不利な立場にある買主を平等な土俵に立たせるための条項なのです。

それでは、このAppraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)の場合はどのような形で買主を守ってくれるのでしょうか。

明日は、Appraisal Contingency(アプレイザル・コンティンジェンシー)の詳細について学んでいきましょう。



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