リファイナンスにトランプ政権がブレーキをかける ~ 後編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

米国で本日9月1日から開始される、FHAローンプログラムのリファイナンス方法の一つであるFHAキャッシュアウト制限についてお伝えしています。

FHAローンは歴史の古い連邦政府主導のローンプログラムですが、物件を初めて購入するオーナーであれば頭金は3.5%で可能という非常にお得なローンプログラムです。

もちろん本当に3.5%しか頭金を入れないのであれば、96.5%の融資額を受けるにあたりその96.5%にそのまま金利がぶつかってきます。

そうすると

「融資元本が多い分、毎月の支払いも多くなって大変になるじゃないか」

とも思えてしまいますが、FAHローンプログラムの場合は低い頭金と同時に金利そのものも通常のローンよりも低く出来る可能性があるのです。

とはいえ通常のローンとの差は1%以下程度なのですので、気持ち有利になる程度でしょうか。

いずれにせよ、物件購入時に必要な現金が最小限で済むことからFHAローンプログラムは今でも大いに活用されていることは間違いありません。

そしてこのFHAローンプログラムはリファイナンスの窓口としても大いに活用されています。

ここでいうリファイナンスとは固定金利が下がった時にローンを組み直すというよりは、「キャッシュアウト」と呼ばれる物件を担保に現金を借用するリファイナンスです。

これまではFHAローンプログラムのリファイナンスは物件価値の85%までキャッシュアウトが可能でした。

ここにトランプ政権がメスを入れ、5%下げの80%に上限額を下げるというのです。

実のところ私(佐藤)はこの上限を下げる判断は正しいと考えており、むしろもう少し下げた方がよいのではないかと思うくらい。

今日は昨日からの続きとして、FAHキャッシュアウトの限度額を下げた方がよいと考える理由についてお伝えさせて頂きます。

増えるキャッシュアウトの利用者

まず現状のFHAローンプログラムのキャッシュアウトについて懸念されるのは、その利用者数が異常に増えているという事実です。

キャッシュアウトはお伝えしているとおり、これまでは「物件価値の85%まで融資を可」としていました。

このキャッシュアウトによるリファイナンスの利用者が急増している理由は、近年のアメリカ不動産価値の情報傾向にあります。

10年前の大暴落からほぼ当時の水準、あるいはそれ以上に戻った不動産価値をもって、物件所有者が元気にキャッシュアウトを活用しているのです。

そのFHAローンプログラムを通したキャッシュアウト活用者の増加割合は

2017年9月 ~ 2018年8月 ⇒ 前年比39%増加

2018年9月 ~ 2019年8月 ⇒ 前年比63%増加

と、年々の増加傾向。

「物件価値が高まっている今がチャンス!」

とばかりに、リファイナンスを活用する人々が急増しているわけです。

そしてどのような類の人がキャッシュアウトを活用しているのかといえば、一番多いのはシニア世代

少し前までは老後は

「小さい物件に移り住んで、毎月のローンも少なくしたい」

あるいは

「自宅を売却してシニア施設に移り住みたい」

という方々が多かったものですが、最近では

「現在の物件を改装・改築して更に価値を高め、このままこの家で生涯を終えたい」

そのように考えるシニア世代が多いのです。

そしてもちろんシニア世代のみならず、若い世代でもキャッシュアウトを活用して改装・改築を行い物件を高く売り抜ける考えの人々も多くいます。

・物件価値が高まっている

・金利が安くなっている

このような条件が揃っているのであれば、今動かない理由はないのです。

ちなみに、私(佐藤)はこのキャッシュアウト組みの数はここからますます増えるだろうと予想します。

なぜなら、アメリカの固定金利がついに3%台で推移しているためです。

たった今の金利はこちらでお伝えした時よりもさらに低くなっており、本年のFRB政策の影響がやや強めに出てきています。

不動産業界としては好材料になるものではありますが、この金利の低さを活用して更にキャッシュアウト組は増えないはずがないと思うのです。

同時にリスクは高まる

このようなキャッシュアウトにより改装・改築が行われることは不動産業界が米国経済を元気にする一因になることは事実です。

けれどもキャッシュアウト組みが増えると同時に「(資金を用立てする)連邦政府の内包リスクは高まる」ということも理解しておかねばなりません。

事実、本年の1月にはFHAローンを組んで物件を購入した人々の中でその後住宅ローンが返済しきれず、債務不履行となった人々の数は2年ぶりの高水準となりました。

そしてauction.comによると、2019年前半は2018年前半と比較するとFHAローン債務不履行により出された物件数は3%も増加しているというのです。

このままFHAローンを通して

キャッシュアウトを行う人が増加する

債務不履行が増加する

という傾向が続くと、その結果は推して知るべしです。

そして何より、前回の不動産価格大暴落の大きな要因もまたこのキャッシュアウト組による債務不履行にありました(この時は変動金利との重複が要因)。

人々が物件価値をもって過度にレバレッジを行いATMのように物件を使い始める時、自分の身の丈に合った使い方のできない人々は次々と債務不履行に陥っていきます。

だからこそ今回のトランプ政権の上限を80%に制限する方向は正しいと思いますし、実際には上限は更に下げてもよいのではないかと思うのです。



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