新築物件市場に将来が垣間見える

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

時折アメリカ不動産の中で新築物件について触れていますが、最近2019年6月度の新築市場の統計が発表されました。

最初に前知識になりますが、新築市場の統計では主に次の3項目の数字を見ていきます。

それらは

Building Permits(建築許可数)

Housing Starts(建築開始物件数)

Housing Completions(物件完成数)

です。

概要はお分かり頂けるとおり

Building Permits(建築許可数)

新築物件の建築プロジェクトにあたり、設計士により管轄当局に提出された設計図が許可された数。

Housing Starts(建築開始物件数)

建築許可を受けた物件が、その後実際にプロジェクトを開始した数。

Housing Completions(物件完成数)

建築工程が終了し、当局による実地検査を通過して正式に完成した物件の数。

です。

これら3つの因数も統計を時系列に見ることで、ある程度アメリカ不動産の将来を占うことが出来ます。

そして本年6月に

United States Census Bureau(アメリカ合衆国国勢調査局)

United States Department of Housing and Urban Development(アメリカ合衆国住宅都市開発省。通常HUD)

が共同に発表した統計によると、

「アメリカの新築物件市場の動きは着実に鈍っている」

とのこと。

今日はアメリカ不動産市場を俯瞰する中でも、新築物件市場の今について改めてポイントを押さえておきましょう。

新築市場の3つの数字を追う

当局の発表による数字を追うと、興味深い事実が見えてきます。

まず、アメリカ不動産の新築市場は実際の新築建設工事開始となる

Housing Starts(建築開始物件数)

が2019年6月に微妙に0.9%下がり、その一方で将来の建築開始を見立てる

Building Permits(建築許可数)

に至っては過去2年間で最も低い水準にある、というのです。

ここで理解しておきたいのは、この時期はFRBの金利政策で高くなりつつあった金利が大きく下がった時期であり、平均金利は

「30年固定金利3.73%」

という、好条件だったのです。

当然ながらFRBが金利を下げた結果に期待されるのは、不動産市場においては市場の活性化です。

ところが新築市場においてはその成果は全く見られず、アメリカ不動産新築市場の反応の鈍さを如実に表しています。

ここで、前述のBuilding Permits(建築許可数)、Housing Starts(建築開始物件数)、Housing Completions(物件完成数)のそれぞれの数字を細かく見ていきましょう。

Building Permits(建築許可数)

6月に発表された個人所有の居住物件の建築許可が出された数は、季節調整値で1,220,000(122万戸)でした。

この数字は前月5月度の1,299,000(129万9千戸)よりも6.1%も低く、昨年2018年6月度の1,306,000(130万6千戸)からすると6.6%低い結果となりました。

明らかに、建築許可数が年々下がっているということです。

建築許可基準そのものは余程の規制が入らない限り、年ごとに大きく変動するような要素はありません。

通常はその物件が立地する地域を管轄する郡の当局に建築許可審査部門があり、一定の基準で審査が行われた後に許可が出されるものです。

物件レイアウトや物件サイズ等により審査にかかる期間に違いはあるものの、相対的に

Building Permits(建築許可数)≒ 新築建設計画の申請数

とみても大過ありません。

Housing Starts(建築開始物件数)

6月に実際に建築が開始された個人所有の居住物件数は、季節調整値で1,253,000(125万3千戸)でした。

これは前月5月度の1,265,000(126万5千戸)よりも0.9%下がったものの、2018年6月の1,180,000(118万戸)よりは6.2%高い数字です。

一般的に、Building Permits(建築許可)を取得したとしても、許可を受けた建築プロジェクトが100%全て実際の工事に進むということはありません。

また建築許可を受けた物件が実際に工事期間に入るタイミングにもズレが出てきます。

そうするといよいよHousing Starts(建築開始物件数)の数字を見た時に、それがいつ許可された案件なのかを見極めることは不可能です。

ただし、興味深いことに時系列に数字を見ていくと

Building Permits(建築許可数)

Housing Starts(建築開始物件数)

この2つの因数の推移は明らかに比例しています。

(出典:アメリカ合衆国国勢調査局)

このような感じですね。

2019年から微妙に下がり始めているのが分かりますでしょうか。

Housing Completions(物件完成数)

そして最後の因数、6月に完成した個人所有の居住物件数は季節調値で1,161,000(116万1千戸)でした。

この数字は前月5月度に完成した1,220,000(122万戸)よりも4.8%低く、2018年6月の1,205,000(120万5千戸)と比較すると3.7%低い数字でした。

。。。

ここに上げた3つの因数の動きは上記のグラフを見れば一目瞭然ですが、明らかに

「アメリカ不動産の新築市場はマイナス成長に入りつつある」

ことに疑いはありません。

有利な金利であるにも関わらずマイナス成長になるということは、

・高騰する人件費
・高い資材

これらの要素が予想以上にアメリカ不動産市場にマイナスに効いている、ということです。

そしてこのことから近い将来占えるのは

「在庫不足は続く」

「需要が常に上回り、不動産価値上昇の傾向は続く」

ということです。

近年はようやく物件価格上昇の傾向にブレーキがかかり始めていたところですが、少なくとも新築市場の統計を見る限り、物件価格上昇率は抑えきれないことが一目瞭然に分かるのです。’

このアメリカ不動産の新築市場の近年の傾向については、今後もしっかりとポイントを押さえておきましょう。



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