新築市場を俯瞰する 〜 前編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

時折アメリカ不動産市場の今について項を上げているのですが、思いの他

「アメリカ不動産市場のトレンドを知る上で有難い」

というご好評の声を頂いています。

ご自身の金融資産をアメリカ不動産物件に転換したい方々は多く、アメリカ不動産市場に参入するにあたりタイミングを計る上で多くの方々に当ブログ内容を参考にして頂けているようです。

そこで先日は

「今のアメリカ不動産市場では新築離れが進んでいる」

という今のアメリカ不動産市場のトレンドの一つをお伝えしましたが、今日からこの点をもう少し深掘りしてみたいと思います。

ここを深堀しておくべきなのは、この新築離れの傾向が連鎖的に次のトレンドを生み出していくからです。

単純に言えば、新築離れが起こっているということは新築の需要が減っているということになりますね。

そして新築の需要が減るということは、供給側も当然そのバランスをとって供給スピードを緩めなくてはなりません。

ところがよく考えてみると、近年のアメリカ不動産市場はそれでなくとも

「住宅ニーズはあれども物件供給スピートが追いつかない」

状態だったはずです。

この人口増による需要ばかりが多くて供給が少ない事実は、アメリカ不動産価格を押し上げていく要因の一つにもなっていました。

それが新築の供給が更に少なくなるということはすなわち、

「増える人口は中古物件により集中する」

ということであり、結果として

「中古物件は更に値上がっていく可能性が高い」

ということになります。

もっぱら不動産業界においても一定のサイクルは繰り返しますので、アメリカ経済の動きに連動して大きな価格調整は近いうちに起こるかもしれません。

けれども仮に価格が下がろうとも、条件が整った物件であれば長期的に待てばきちんと価値が戻ってくる可能性が高いものです。

(反対に条件が整っていない物件を購入した場合はこの限りではありません)

いずれにせよ、この新築物件の供給が少なくなっている事実から起こる物件価格上昇の傾向は見逃せないポイントとして理解しておく必要があります。

そこで今日から、新築物件の供給不足と共に今のアメリカ不動産市場に起こっている現象について、ポイントを押さえておきましょう。

これらのポイントを総括することで、今のアメリカ不動産市場とどのように向き合っていくべきかが更によく見えてくるはずです。

1.物件所有率は再び上昇している

過去二年間、アメリカ世帯の物件所有率は上昇を続けています。割合にすると

2017年 … 63.9%

2018年 … 64.4%

と、アメリカ世帯の物件所有率は着実に上昇しているのです。

数にすると、昨年2018年の一年間だけで実に160万人の新オーナーが誕生しています。

ある意味、この数字は今のアメリカ経済の底力を見せていると言ってもよいかもしれません。

トランプ大統領の外交政策は横において、ポイントとしては少なくとも自身のお財布事情を踏まえて物件所有に踏み切る世帯が確実に増えているということです。

10年前の不動産価格大暴落の時期には数多くの差し押さえ物件が発生し、その時期にアメリカ世帯の物件所有率は激減した経緯があります。

今となっては1985年〜1995年当時の所有率にまで戻り、購入者を世代別に見るとミレニアム世代とそれよりも若い世代が健闘し、2016年〜2018年の間に110万軒のクロージングをこれらの世代が占めています。

ちなみに物件を所有する上では多くの場合住宅ローンが発生するわけですが、この住宅ローンの毎月の返済額平均は確実に上昇しています。

10年前の不動産バブル崩壊後の価格暴落が底値を打ち始めた2012年頃、当時の金利の安さを反映して住宅ローンの平均返済額はインフレ調整後の数字で$1,176でした。

これが6年後には51%も跳ね上がり、昨年2018年の住宅ローン平均返済額は$1,775でした。

アメリカ人の住宅所有欲は決して衰えていないことがよく分かります。

2.新築物件建設の鈍化

そして本項のメイントピックである新築物件についてですが、その実際の変化はどうなのでしょうか。

結論だけいえば、数字で見ると現在の新築物件供給数は確実に鈍化しています。

2017年から2018年の一年間の推移で言えば、完成した新築物件数は前年比で2.8%上昇して118万軒でした。

ところがこの前年比2.8%の伸びというのは、不動産バブル崩壊から底値を打ったあたりの2012年以降では最低の伸び率なのです。

需要に対するこの新築物件供給の鈍化は土地の価格上昇にも寄与し、また建築業者の不足が新築物件建設スピードを十分にあげないまま工賃だけを上昇させるため、これが新築物件の価格を余計に押し上げる要因になってもいます。

この伸び率を地域別に見ると、

西部 … 7%(人口増が続いている)

南部 … 5%(土地は潤沢で安い)

北東部 … 1%以下(物件を建てられるだけの土地が少ない)

中西部 … -4%

という具合です。

これらの数字は現地の人口流入にほぼ比例しているように見受けれれますが、いずれにせよアメリカ全土としては新築物件の供給そのものが鈍化し続けているのは事実です。

明日に続けます。



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