HOAは何のためにあるの? 〜 後編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

昨日からHOA(Homeowner Association)についてお伝えしています。

1970年にはHOAにより管理される物件の数はアメリカ全体で1%程度だったものが、現在はその割合が25%にも達しています。

実にアメリカの物件の4軒に1軒がHOAの管理下にあるわけです。

そして自分が暮らす地域に納税を行うのと同様に、自分が暮らす近所のコミュニティにHOA Feeを支払うことで共同スペースは全て管理されることになります。

結果だけをいえば、HOA Feeを支払う地域の物件はその価値が守られる傾向は高いものです。

「不動産管理のキモは購入よりも管理にあり」と言われるとおり、管理面がきちんとなされることでまず地域一帯の価値が上がることになりますし、その中に位置する自分の物件も共同スベースが専門家により維持されるわけですから、外部条件は価値保全に大きく貢献してくれるのです。

私(佐藤)も暮らすコミュニティに毎月HOA Feeを支払っていますが、先日妻はHOAが運営する管理組合に電話をかけていました。

物件の目の前の低灌木がよく育って生い茂るレベルにきていたため、伐採してもらう為に担当者に電話をかけたのです。

そこで管理組合は雇っている外部管理会社に連絡をして担当者を派遣し、

1.インスペクション(どの程度の伐採が必要かを調べる)

2.スケジューリング(いつ作業を行うかを決める)

3.実施

の流れで伐採を行うことになります。

実際、日頃の管理維持の流れでは目の届きにくい箇所はこのように住人が組合に連絡をして別途作業してもらうことになります。

そのままでは

物件価値を損なう可能性

景観を損なう可能性

が確認される場合、組合はそれなりに積極的に動いてくれるのです。

HOAを構成するのは

そこでこのHOAはどのように構成されているのでしょうか。

HOA(Homeowner Association)

という名前の如くその構成はホームオーナー、物件所有者達からなります。

そして全てのHOAには役員会なる中心メンバーが存在しており、このメンバーは通常はホームオーナーから選出されることになります。

地元地域の組合会の役員選出のようなものですね。

同じようにそのHOAに暮らす住民は役員に立候補する権利があり、選出された役員は一定期間役員としての義務を果たすことになるのです。

そしてこの役員会は民間企業と同じように「意思決定機関」としての役割に集中します。

当然ながらホームオーナー達はそれぞれ生業や自分の生活があり、

・住民からの要請に応答する

・管理会社とやり取りをする

・お金を管理する

等の実務レベルの仕事を回すのは不可能ですから、ここに役員会の決定を受けて動く組合本部なる実行機能を組織する必要が出てきます。

ごく小規模なHOAであればそれこそ町内会のように役員達がお金の管理や実務を行う場合もあり得ますが、通常は組合本部が存在してHOA全体の機能を統括しているものです。

そしてHOA本部には通常はフルタイムで働く人々がおり、この管理部門の雇用者のお給料もHOA Feeから賄われているわけです。

一つの会社運営のようなものですね。

そこで昨日お伝えしたHOA Feeにはコミュニティにより大きく違いがありますが、専門スタッフを雇う場合はこの雇用者の給与を含めて当年の維持管理費予算に基づいて運営がなされることになります。

事実、HOA Feeは通常はこれら予算よりもやや多めに徴収されていることは覚えておきましょう。

やや多めに徴収される理由は、通常の維持管理費の予定どおりにはいかないエキストラの作業(冒頭の佐藤の妻の依頼のような)は出てくるものだからです。

それでも場合によっては徴収するHOA Feeだけでは資金が不足する年も出てきます。

・共同スペースに街灯を設置する必要が出てきた

・共同遊歩道に橋をかける必要が出てきた

・災害の影響で多額の修繕費用がかかった

このような場合は Special Assessment(特別徴収)という形で、その不足額を補うためのHOA Feeを追加で支払うことになります。

HOAにはルールがある

そしてそのようなHOAには、然るべきルールが存在しています。

CC&Rs(covenants, conditions, and restrictions:規約、規定、規制)

と呼ばれるこのルールはほぼ例外なく全てのHOAに存在し、それぞれのHOAが過去の管理史の中で修正・削除・加筆を繰り返してきたルールがそこにあるのです。

事実、このCC&Rsもまた前述の役員会を中心に審議にかけられることになります。

典型的には

1.住民の苦情、要望、または役員自身から提案が上がる

2.定例役員会で審議にかけられる

3.役員以外のホームオーナーも審議に加わることができ、話し合いが行われる

4.決議(通常は役員のみならず、ホームオーナーも投票可能)

という一連の流れを経てCC&Rsは繰り返し修正・加筆されていきます。

その審議内容は実に多岐にわたり、

・郵便ポストはどのような種類を使うべきか?

・地域の物件の壁の色は何にするべきか?

・ペットは許可するか?(何の種類の犬を許可するか?)

・喫煙は許可するか?

等、実にあらゆる内容が事細かに定められていきます。

そして一度CC&Rsとして定められたら、例外なく全住民がCC&Rsに従う義務が出てきます。

・HOA Feeを支払う義務

・CC&Rsに従う義務’

これらを考えると、何となく窮屈な印象を持ってしまいますね。

そして事実、

→ HOA Feeを支払わない

→ CC&Rsに従わない

となると、これに対するペナルティは相当なものです。

多民族国家であるアメリカは殊の外法律を重視する気質がありますが、その性質はCC&Rsにおいても全く同様に働いています。

そしてHOA Feeを滞納する場合、なんと最悪のケースでは「物件差し押さえ」もあり得るのです。

HOAはあたかも役所のような機能を有しており、他人の資産を没取する権限すら備えているわけですね。

その為、

「あなたの物件は○○に不具合があります。この部分は共同物件ではありませんから、○月○日までに自費で修繕して証拠を提出してください。」

そんな行政機関ばりの通知を送りつけてくるものです。

けれども言い換えると、それくらいしっかりと管理されているからこそ実際には資産保全の意味で受ける恩恵の方が大きいわけですね。

HOAという機能はアメリカの不動産では必要不可欠なものになりつつあり、今後も間違いなくHOA制度を導入するコミュニティは増え続けていくだろうと思います。



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