Grant Deed(グラント・ディード)

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

昨日からDeed(ディード)の種類についてお伝えしています。

今日は

Grant Deed(グラント・ディード)

についてです。

Deed(ディード)のことになると、

「Warranty Deed(ワランティ・ディード)とGrant Deed(グラント・ディード)はどう違うのですか?」

というご質問を頂くことがあります。

確かにこの二つはなんとなく似ているのですが、実際には似て非なるものです。

より厳密にいうと、Grant Deed(グラント・ディード)そのものも細部については州ごとに違いがあります(グラント・ディードの使用を認めていない州もあります)。

Grant Deed(グラント・ディード)もまたきちんとした不動産権譲渡の形態であることには間違いありません。

けれども一般的にはWarranty Deed(ワランティ・ディード)はGrant Deed(グラント・ディード)と比べると、不動産権被譲渡人(物件の購入者)に対する保証は低くなってくるのです。

今日はこの違いを分かりやすく、時間軸で見ていきましょう。

Grant Deed(グラント・ディード)

昨日、Warranty Deed(ワランティ・ディード)の場合は

「Deed(ディード)の中でも最上位とされ、現在と未来の不動産権を保障する」

と定義しました。

役割としてDeed(ディード)には

Grantor(グランター):譲渡人、売主

Grantee(グランティー):被譲渡人、買主

の二者が関わってきますが、Warranty Deed(ワランティ・ディード)はGrantor(グランター)が

現在

未来

この双方の権利に対して

1.「譲渡人は法的にその対象となる物件を所有している」という誓約

2.「譲渡人は法的にその対象となる物件を譲渡できると権利を有している」という誓約

3.「譲渡人はその対象となる物件に対して未払いローン、抵当権、地役権等を背負っていない」という誓約

この3つを誓約する、という話でした。

これに対し、Grant Deed(グラント・ディード)の場合は

現在

の話のみに集約されてきます。

かつ現在とは「過去からの延長」でもあり、厳密には現在という言葉には(もし存在していれば)過去の事象の遺物も含まれているわけです。

そしてこの場合の過去と現在の分岐点は

売主のその前の所有者 ⇒  ⇒ 売主

この★印になります。

このことを買主を含めた三者間の時間軸で表すと

A. 売主のその前の所有者の所有期間

B. 売主の所有期間

C. 買主(あなた)の所有期間

の順番ですね。

現在の不動産売買そのものは買主が購入することでBからCに移ることになります。

そしてここがポイントですが、

Warranty Deed(ワランティ・ディード)による不動産権保証対象はA、B、Cの全てであるのに対し、Grant Deed(グラント・ディード)の場合は

「Aの期間に発生していたかもしれない不備に関しては保証しない」

という性質があります。

公平な言い方をすれば、Grant Deed(グラント・ディード)は譲渡人である売主は自分に対しては

1.「譲渡人は法的にその対象となる物件を所有している」という誓約

2.「譲渡人は法的にその対象となる物件を譲渡できると権利を有している」という誓約

3.「譲渡人はその対象となる物件に対して未払いローン、抵当権、地役権等を背負っていない」という誓約

この3つを明らかにしているのですが、その一方で

「私(譲渡人、売主)よりも以前の所有者の時代に発生していたかもしれない不具合に関しては、知りませんよ。」

というわけです。

結果として、あなた(被譲渡人、買主)が契約終了後にその物件で暮らしていてある日に突然元所有者(譲渡人、売主)よりも前の所有者(すなわち前々所有者)の孫あたりが

「いや、この物件は私の父の時代に私に譲られたのですよ。この公証人サイン付の譲渡証明書をご覧ください。」

などと現れた場合、あなた(被譲渡人、買主)は元所有者(譲渡人、売主)に対して法的に責任を追及することが出来ないのです。

。。。

そう考えると、Grant Deed(グラント・ディード)には一抹の不安が残ってしまいますね。

時を超えてあなた(被譲渡人、買主)の所有期間に始めて不具合が表に出てくる可能性も無きにしも非ずであり、バッサリ言ってしまえば

「譲渡人(売主)は物件に対して譲渡する権限を本当に持っているかは保証していない(売主以前の所有者の代に不動産権の不具合が発生しているかもしれない)」

というのがGrant Deed(グラント・ディード)なのです。

After-acquired title(アフターアクワイアード・タイトル)

そしてより厳密にいえば、譲渡人(売主)は不動産権を完全に所有しているかは分からないわけですから(過去に不具合があるかもしれないので)、Grant Deed(グラント・ディード)がDeedとして法的効力を持つのは

「譲渡人(売主)と被譲渡人(買主)の間で不動産権の譲渡が執行された時(買主がサインした瞬間)」

ということになります。

譲渡人の手から離れた瞬間、Grant Deed(グラント・ディード)の法的効力が発生する、という意味です。

これを

After-acquired title(アフターアクワイアード・タイトル)

といいます。

かくして、Grant Deed(グラント・ディード)は数あるDeed(ディード)の種類の中でも唯一、

「譲渡人(売主)と被譲渡人(買主)の間で執行されて始めて法的効力を発動する」

というユニークな性質があります。

現実には、Grant Deed(グラント・ディード)をもって譲渡された不動産権において現在の所有者の所有期間中に前所有者が知らなかった問題が浮上してくる、というシナリオは私(佐藤)も聞いたことがありません。

またGrant Deed(グラント・ディード)の場合は、売主からすれば譲渡後には自分はその不動産権から完全に解放される(過去に何かあったとしても責任を負わない)わけですから安心感があります。

とはいえ、買主にしてみればなんとなく不安が残るのがGrant Deed(グラント・ディード)と言えそうです。

ちなみにこの不安を解消する為の不動産権保険を購入することは可能ですので、もしあなたがGrant Deed(グラント・ディード)の形式で不動産権を譲渡されている場合、過去からの見えない不安を払拭する意味では不動産権保険の購入を検討してもよいかもしれません。

明日に続けます。



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