木造物件にこだわるべきか?

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

私(佐藤)にアメリカの不動産投資で相談にこられる方々の多くは、「木造による節税」を期待されています。

アメリカ合衆国への納税は別として、日本への納税の場合は「木造の中古物件」だと節税に有利になるからです。

こちらに国税庁が出している、建物の耐用年数の一覧があります。

これを見ると分かりますが、木造の場合は耐用年数が「22年」と記載されていますね。

これが意味するところは、例えば2200万円の木造物件を新築で購入したとすると

100万円 = (2200万円 ÷ 22年)

と1年間に経費として落とせる減価償却が100万円となり、確定申告の際に毎年100万円の収入に対する税金を節税できるわけです。

ところが今の日本の税制では、

法定耐用年数を全て経過した物件
⇛ 法定耐用年数の100分の20

法定耐用年数の一部を経過した物件
⇛ 法定耐用年数-経過年数+経過年数の100分の20

この公式を償却期間とすることが認められています。

そうすると、22年以上の木造物件であれば前述の公式を使えば

4.4年 = 22年 × (20/100)

となり、小数点切り捨てで4年間での減価償却が認められることになります。

前述の例であれば

550万円 = (2200万円 ÷ 4年)

となりますから、新築で購入する場合の100万円と比べると5.5倍の差になってしまいます。

その為に、多くの人々は節税効果を期待して「22年以上経過した木造物件」の購入を希望されるわけです。

とはいえ、「木造物件は修繕費用がそれなりにかかる」というのもまた事実です。

予想される修繕費と節税効果を両天秤にかけた場合に、それでも木造物件を購入するべきなのでしょうか。

今日は、木造物件について造詣を深めていきましょう。

修繕率は材質によって違いがある

住宅の素材は昔は木造が主体だったものの、近代史の不動産業界では木造以外の素材による建築物が数多く建設されるようになってきました。

アメリカでは真っ先に導入された建築素材は「レンガ」です。

とりわけニューイングランド地方とよばれるボストンやニューヨークのあたりでは、かなり早い時期にレンガ造りの建物が多く見られるようになってきました。

何よりもレンガの場合は「壊れにくい」という特徴があります。

とりわけ1900年前後のレンガは今のように石灰が使用されておらず、実をいうと当時のレンガの方がよほど丈夫なのです。

その為、ニューヨークマンハッタンのど真ん中でも1900年初期に建てられたレンガ造りのビルが今も元気に使われており、当時の古き良きアメリカを思わせる風物詩の一つとなっています。

今でこそレンガの性質は多少変わってきたものの、冬の寒さが厳しい地方ではレンガ造りの住居用物件は非常に多くみられます。

私(佐藤)が日本人投資家の方々に

「有利な減価償却による節税とキャッシュフローが同時に狙える不動産市場」

としてお薦めするテネシー州メンフィス市もまた、レンガ造りの建物が多く見られる街です。

少なくとも所有物件としては木造と比較すると修繕率の低いレンガ造りの方が人気があり、近年の新築物件はレンガ造りが多くなっています。

結果として人気度の高いレンガ造りの方が、出口戦略としては「後々に売れやすい’」ということも言えるわけです。

すると、ここで疑問が出てくるのは

「修繕率の低いレンガ造りと、それなりに修繕が発生したとしても節税に有利な木造では、結局はどっちが有利なのか?」

という、節税と修繕費(すなわち、修繕費が抑えられることによるキャップレートの上昇)のバランスの話です。

この点を数字で見ていきましょう。

結論としてはやはり「木造」が有利

結論のみ先にお伝えすると、

「節税とキャップレートのバランス」

を加味したとしても、やはり木造に軍配が上がります。

最近も何人かの日本人投資家さんにこのことをお伝えさせて頂く機会がありましたが、例えばこの物件に投資した場合を例に上げてみます。

$128,900
ブロック造り
1999年築

日本の税法ではブロック造りは耐用年数が38年となります。

この場合はブロックでも木造でも耐用年数は経過していませんが、それでも

法定耐用年数の一部を経過した物件
⇛ 法定耐用年数-経過年数+経過年数の100分の20

この部分経過の公式が適用できます。

この公式を上記の物件に当てはめると

耐用年数 = ( 38 – 19) + 19 × 20% = 22.8

22年とすると減価償却率が

0.0454 (1/22)

となり、1年間の減価償却費は

$5,859.09 ($128,900 × 0.0454)

となります。

それでは、仮にこの物件が木造だった場合はどうでしょうか。

22年の耐用年数で計算し直すと

耐用年数 = ( 22 – 19) + 19 × 20% = 6.8

6年とすると減価償却率が

0.1666 (1/6)

となり、一年間の減価償却費は

$21,483.33 ($128,900 × 0.1666)

となります。

また、この物件の建物比率は75%ですので、減価償却費は

ブロック造りの場合:$5,859.09 × 75% = $4,394.31

木造の場合:$21,483.33 × 75% = $16,112.49

と、その差が$11,718.18にも及び、今の為替レートで約130万円の差です。

そうすると「レンガ造りと木造の修繕費の差」を考えた時に、約130万円も節税差を理由付けられるほどのキャップレートの上昇は期待できませんから、やはり節税目的であれば木造物件を狙った方が良さそうです。

また上記に例を上げたように木造物件でも必ずしも22年以上経過したものではなくとも、1999年築の場合それでも6年で減価償却を完了させることができますから、それくらいの期間を見てもよい方は築20年程度のものでもよいかと思います。

ちなみに、この中古物件に関する税法は2016年11月7日に会計検査院が内閣に送付した「平成27年度決算検査報告」の中にある、「国外に所在する中古の建物に係る所得税法上の減価償却費について」という項目で見直しの検討が提案されています。

2018年度は見送りされたようですが、近い将来に改正される可能性も否定できませんので、節税を検討されている方は早めの行動がよいかもしれません。



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