物件売却時に住宅ローンも購入者に引き継ぐ方法 ~ 前編

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

アメリカで自宅を購入する場合も、大概は住宅ローンを組むことになります。

20%程度の頭金を入れ、残りの物件価格に対して融資を受けて、そこから毎月元利金(元金と利息)を返済し続けて融資額を減らしていくわけです。

それから数年が経ち、アメリカの自宅を売却して日本に帰国しなければならなくなったとします。

そんな時にあと何年も残っている住宅ローンは厄介なお荷物です。

身の回りを綺麗にしてアメリカを去りたいものの、ローン返済の責任がある以上はそうもいきません。

通常は物件を売却した後の利益をローン返済に回すことが考えられますが、日本に帰国して新たに生活を始める為の資金を考えると、極力物件売却からの利益は残しておきたいものです。

このような場合、自宅を売却する際に「購入者に住宅ローンを引き継いでもらう」ことは可能なのでしょうか?

残念ながら、通常は物件所有者が抱える住宅ローンを購入者に引き継いでもらうことは出来ません。

その理由は、通常の住宅ローン契約には「Due on sale」という条項が加えられているからです。

Due on saleとは

Due = 支払い期限
on Sale = 販売時の

対象物が売れた時をもって、その支払期限となるという意味。住宅ローンの場合、住宅が売れた時点で現行のローン残高が一度に支払い期限となる。

この「Due on sale」という条項の為に、債務者である家主には物件が売れた時点で住宅ローンをまとめて返済する責任があるのです。

とはいえ、ここには例外があります。

物件が無事に売れた際に、住宅ローンの残高を物件購入者にそのまま引き継げる場合があるのです。

言い換えると、その例外は「Due on sale条項がない住宅ローン契約」ということになります。

今日は、この「Due on sale」条項がないローン契約の種類について深く見ていきましょう。

「Due on sale」条項のない3種類の住宅ローン

物件売却と同時に現行の住宅ローンの完済が求められない、いわゆる「Due on sale」条項がないローン契約は主に3種類あります。

VAローン

VAはVeterans Affairsの略で、アメリカ合衆国退役軍人省のことです。

アメリカでは軍に所属した経歴のある元兵士には、その退役後に障害補償、年金、教育、住宅ローン、職業リハビリテーション、遺族給付、医療給付、埋葬給付等、実に手厚い福利厚生が約束されています。

この中で住宅ローンの場合は退役軍人のみならず、現役軍人でもこの特権を使って住宅購入ができます。(このVAローンを使うと頭金はゼロでもよいという厚遇ぶりです。。)

そしてこのVAローンには「Due on sale」条項はついていません。理由は、とりわけ現役軍人の場合は従軍期間中の人事異動が頻発する為、引っ越しを余儀なくされる場合に「Due on sale」条項があると非常に不利になるためです。

またVAローンの中でも1988年3月よりも以前にクローズしたローンの場合は、融資元の許可を必要とせずに自由に誰にでも住宅ローンを譲渡できます。

1988年3月以降に組まれたVAローンの場合、融資元が定める条件を物件購入者が満たす場合にのみ、譲渡が可能となります。

FHAローン

FHAはFederal Housing Administration の略で、連邦政府住宅管理局のことです。

多額の頭金を支払うことが出来ない低所得者を対象とする住宅ローンの支援制度で、FHAローンを通して住宅ローンを組む場合は頭金は3.5%で可能になります。(他の諸条件は割愛します)

FHAローンもまた契約書に「Due on sale」条項はついておらず、1989年12月以前にクローズしたローンの場合は、融資元の許可を必要とせずに自由に誰にでも住宅ローンを譲渡できます。

1989年12月以降に組まれたFHAローンの場合は、ローンを譲渡するには融資元の許可が必要となります。

USDAローン

USDAはUnited States Department of Agricultureの略で、アメリカ合衆国農務省のことです。

この農務省が農牧地に暮らす低所得者を対象に住宅ローンを用立てするのがUSDAローンで、VAローンと同様に頭金ゼロでローンを組むことが可能です。

アメリカの農牧地地帯で暮らす人々を経済的に支援することでその生活の質を高める目的で、2017年だけでも12万7000 世帯がこのUSDAローンを活用しています。

USDAローンを使う人々は住宅購入や改築の為にローンを組むことができ、このローン契約にも「Due on sale」条項は含まれていません。

ただしUSDAローンは住宅売却と同時に住宅ローンも譲渡する場合は、いつにクローズしたかに関わらず融資元の許可が必要となります。

またUSDAローンそのものが低所得者を対象としている為、ローンを引き継ぐ住宅購入者の収入はある一定額を超えないことも条件となります。

。。。

これら3種類の住宅ローンに関しては「Due on sale」条項がついていないため、購入者の条件が合えば住宅ローンそのものを譲渡することが可能なのです。

そこで冒頭の例えの場合(日本に引き上げるする日本人の例)、FHAローンを組むことが出来た方の場合は物件売却の際に住宅ローンも同時に引き継いでもらうことが可能、ということになります。

明日はこの「住宅ローンの引き継ぎ」について、更に深掘りしていきます。



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