キャップレートをもう少し深く

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

昨日はキャップレートの基礎についてお伝えさせて頂きました。

自分が投じる資本(キャピタリゼーション)

に対する

純利益の割合(レート)

はどれくらいだったのか、これをキャップレートと呼び、

キャップレート = 「経費を差し引いた後に残る純利益」÷「現在の市場価値」

の式で割り出すことが出来ます。

通常は商業物件に使われる概念ですが、プロの投資家の間では複数世帯物件(アパート物件)にも使用し、また一戸建て物件への投資検討に使用することも可能です。

いずれにせよ自分が投下する資本(対象物件の購入額)に対し、そこから生み出される年間の純利益を測る尺度ですから、およそ家賃が発生するあらゆる物件の比較に使用することが出来るのです。

州をまたぐ比較として

また近隣の商業物件間の比較のみならず、それなりに距離が離れた街や他州の商業物件と比較することもアリです。

カリフォルニアでこの価格ならキャップレートは12%だが、ニューヨークではキャップレートは7%にまで落ちる等、州をまたいで比較することも大いに価値があります。

ただし、条件はあくまでも同種の物件の同じ価格帯で算出されるキャップレートに限ります。

交渉材料として

また、現実の不動産売買の世界ではキャップレートは交渉材料にも使われています。


あなたの物件の昨年のNOI(純利益)は$120,000だった。

この地域の同レベルの物件の現在の市場価値から出て来るキャップレートは14%だから、あなたの商業物件は$857,142.85($120,000 ÷ 14%)で計算され、$860,000がせいぜいではないだろうか。

と、売主が高値につけていたとしても、キャップレートを基にする根拠ある数字をもって値下げさせられてしまうこともあるのです。

キャップレートのみには頼れない

とはいえ、このキャップレートという尺度も万能ではなく、現実にはもう少し複雑です。

実際には投資物件からの利益を測る尺度には数多くの要素があり、キャップレートはその一つに過ぎません。

例えば昨日の例では

「$1,000,000(約1億円)の商業物件から年間$130,000(約1300万円)の純利益が期待できる」

と仮定して、

キャップレート =  $130,000 ÷ $1,000,000 = 0.13 = 13%

という数字を算出しました。

そこで、この数字をもって同地域の同種の物件を探してみたところ同じ純利益($130,000)が期待できながら、キャップレートは7%の商業物件があったとします。

この場合の物件価格は

$1,857,142.85($130,000 ÷ 7%)

で、約$1,860,000が適正価格となります。

この時、物件価格だけをみれば

商業物件A: $1,000,000

商業物件B: $1,860,000

で、圧倒的に前での商業物件Aの方がよい、という話になります。

ところが、例えばそれぞれの物件に対して

商業物件A:

⇒ 築年数が古い
⇒ テナントの入れ替え数が多い

商業物件B:

⇒ 築年数が浅く近代設備のビル
⇒ テナントの入居期間が長い

という条件が確認されたとすれば、いかがでしょうか。

また通常は築年数が多いということは、建設された当初よりもはるかに価値が上がっている、というのが妥当な見解です。

そうすると、商業物件Aの方は実体よりも付加価値で高額になっており(実際には$1,000,000の価値もない)、お化粧(付帯工事)をして精一杯の価値が出ている可能性もあります。

結果として、商業物件Aの方は

高い空室率の可能性

改修工事を必要とする可能性

という、大きくは2つのリスクを含んでいるとも言えるのです。

整理して言い換えると、

「商業物件Aは、含みリスクはあるがハイリターンで物件を購入できる」

ということなのです。

つまり、このことは

「キャップレートの差はリスクの差」

とも言えますから、この場合は商業物件Aを購入するかどうかを判断するにあたり、キャップレートの差とリスク管理のバランスを考慮する必要があるのです。

かくして、キャップレートは商業不動産物件の価値を推し量るのに非常に有効な尺度である一方で、その数値は数ある判断要素の1つに過ぎないことを把握しておく必要があります。

保有か売却かの判断にも使えるキャップレート

最後に、このキャプレートは対象となる物件の保有か売却化を判断する基準にもなり得ます。

キャプレートは利益率を標準値化して推し量れる数値です。

公式

キャップレート = 「経費を差し引いた後に残る純利益」÷「現在の市場価値」

の中で、キャプレートが同じ数字であり続けるためには、現在の市場価値に対するNOI(純利益)の数字はほぼ一定であることが求められます。

ここで、仮に賃貸料の値上げ等でNOI(純利益)が上昇する中で、物件市場価値がそのままである場合、

キャップレート = 「経費を差し引いた後に残る純利益」÷「現在の市場価値」

の式である以上は、キャップレートは大きくなっていきます。

これとは反対に物件市場価値がそのままである中、NOI(純利益)が下降するのであれば、キャップレートは小さくなります。

このようにキャップレートを基準に考えるとよく分かるのですが、不動産投資においては利益率をある一定のレベルに保つのであれば、物件価値が上昇するに伴ってNOI(純利益)も上昇していくか、もしくはNOI(純利益)はそれ以上に伸びていかなくてはならないのです。

その意味では、キャプレートという尺度は長期視点で見たときには、購入した不動産物件の運用成績が向上しているかどうかの尺度にも使うことが出来ます。

物件を購入した後に統計を取り続けて、物件購入から数年した後で何かしらの理由でキャップレートが下がり続けるような場合は、物件を売却して他の物件に投資することが賢明かもしれないのです。

このようにキャップレートは万能ではないものの、不動産投資の判断に大きく役立つメジャーな尺度であることは間違いありません。



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