ローンの支払いと投資額からの配当を計算してみる

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

マルチファミリー(複数世帯住宅)物件を見定める為の5つのステップ

  1. 家賃収入の事実確認
  2. 経費の事実確認
  3. 純収益の算出
  4. キャップレートと評価の算出
  5. ローン支払いと利益(あるいは自己資本配当率)の計算

についてお伝えしています。

今日はいよいよクライマックス、

5.ローン支払いと利益(あるいは自己資本配当率)の計算

についてお伝えさせて頂きます。

ローン返済額を算出する

昨日までの項で例として上げている物件に対し、あなたと売り主の間で価格を$256,000とすることに同意したとしましょう。

この購入価格が定まった後が「ローン返済額がいくらになるのか」を見積もるタイミングです。この時点で金融関係者あるいはあなたの不動産エージェントに助けを求めて、ローンを組んだ場合の返済額を試算します。

ただし、もしあなたに時間の余裕があるのであれば、ローン返済額の見積もりは自分で簡単に算出できます。

たとえば「mortgage payment」とグーグルで検索すればこのようなサイトはいくらでも出てきますので、

  • 融資額
  • 金利
  • 年間固定資産税
  • 年間家屋保険

等の必要な情報をタイプして返済期間を選択すれば、然るべき返済額がすぐに自動算出されます。このあたりのスピード感はインターネット社会の恩恵に預かるところですね。

そこで本項の使用している数字を再び使ってみます。購入額を$256,000、頭金を10%、金利は昨日のキャップレートと評価額の項であげた7.5%を使用してみます。

購入額:$256,000
頭金:10%
金利:7.5%

この条件で試算してみると、ローン返済額は年間$20,010となりました。

売り主のプロフォーマ(見込み試算表)上の数字ではなく、自分で試算した際の年間総収益は$22,368でしたから、十分に返済できるだろうことが分かります。

あなたが実際に手にする総純利益(ネットキャッシュフロー)を算出するには、この自分で試算した総収益(ネット・オペレーティング・インカム)からローン返済額を差し引くことで算出できます。

総純利益 = 総収益 – ローン返済額

で考えると

$22,368(年間総収益)- $20,010(年間ローン返済額) = $2,358 / 年

と、十分にローンを返済した後でも$2,358が手元に残る計算となります。

そこでこの年間に$2,358という数字。これは投資の意味では成功している数字といえるのでしょうか?もしくは失敗のレベルに入る数字なのでしょうか?

一年を通じて手元に利益が残ったとしても、投資として成功しているかどうかは別の話です。

ここで、総純利益(ネットキャッシュフロー)について掘り下げてみます。

成否は自己資本配当比率(cash on cash:キャッシュ・オン・キャッシュ)で計る

投資においてその成果が成功したかどうかを推し量る際の尺度の一つに

自己資本配当比率(cash on cash:キャッシュ・オン・キャッシュ)

という言葉があります。英語でキャッシュ・オン・キャッシュ、直訳で「現金の上の現金」となりますが、これをニュアンスで解釈すると

自分が現金を出して、その現金に対して手元に戻ってくる現金

という意味です。ここでは日本語でそれらしくなるように「自分の資本に対して配当されてくる現金の比率」という意味で「自己資本配当比率」と訳しました。

配当とは複数に対して儲けが配分される意味ですが、不動産投資でも複数で資金を合わせて投資する場合が大いにありますので、この配当という言葉で大過ないかと思います。

総収入の計算や支出の計算等、ごちゃごちゃ細かい計算は横に置いて、

「結果として、自分の手元にいくらの現ナマが返ってくるねん?」

というとき、この自己資本配当比率(キャッシュ・オン・キャッシュ)で計算するのです。

この自己資本配当比率を分かりやすく言えば、銀行にお金を預けた際の利子と同じと考えてください。

10年程前、私(佐藤)がアメリカの定期預金にお金を預けていた時は、例の世界金融危機以前の時期でしたので利率が6.25%でした。$10,000も預けておけば、何もせずとも$625が一年間で生み出されたのです。

ちなみに今のアメリカの定期預金では2.1%が精一杯です(2017年12月時点)。それでも日本では、定期預金の利率は0.2%にも届きませんので「アメリカに口座を開いて定期預金に入れた方がまだまし」という理屈になります。

いずれにせよ、このように自分が現金を預けその元金に利率をかけて生まれる現金を上記の例で言えば、

元金:$10,000
利率:6.25%
利息:$625

ですから

$10,000の現金を出したら、その現金に対して手元に$625戻ってきた(配当されてきた)

となり、この$625はキャッシュ・オン・キャッシュ(出した現金に対して戻ってきた現金)と同義ですから、投資の世界で使われる「自己資本配当比率(キャッシュ・オン・キャッシュ)」という言葉は、要は「銀行の利率と同じ」と考えておけばよいのです。

そこで本項の例に話を戻しますと、自己資本配当比率(キャッシュ・オン・キャッシュ)を求める式は

自己資本配当比率 = 総純利益(生み出されて最後に手元に残った現金)/ 頭金(最初に出した資本金)

となりますので、

$2,358(総純利益)/ $25,600(10%の頭金)= 0.092

で、この例の自己資本配当比率(キャッシュ・オン・キャッシュ)は9.2%であることが分かります。

9.2%であれば、今の日本の0.2%もない利率どころか、10年前の私(佐藤)の定期預金利率6.25%よりも遥かによい数字です。

つまり、本項で上げている物件を$256,000で購入してその頭金を10%とした場合は投資に対する返還率は9.2%にも及ぶわけで、この投資は「成功」と言えるレベルにあることが分かります。

不動産投資の魅力の一つはここにあり、アメリカ不動産という価値が下がりにくいハコモノに現金を換えて、かつそこから銀行の定期預金に預ける以上のリターンを得ることができるわけです。

少なくとも日本の銀行口座にお金を寝かせておくよりは、圧倒的にお金が増える結果になるということです。

まとめ

今日まで、マルチファミリー(複数世帯住宅)物件を見定める為の5つのステップ

  1. 家賃収入の事実確認
  2. 経費の事実確認
  3. 純収益の算出
  4. キャップレートと評価の算出
  5. ローン支払いと利益(あるいは自己資本配当率)の計算

についてお伝えさせて頂きました。

この5つのステップは極めて重要で、極論、マルチファミリー(複数世帯住宅)物件への投資を検討するのであれば、この5つだけに意識を集中すれば十分です。

事実、上記の方法はアメリカ人のプロの不動産投資家が行っている精査手法と全く遜色ありません。

そのキモとしては1番目と2番目、「収入の見込みを正確に算出して、支出の見込みを現実に極めて近い近似値に落とし込む」ことにあり、3番目以降は自動的にパソコン上で出てきます。

そして、この5つのステップから得ることができる最大の利益は、「根拠に裏打ちされた安心と自信」なのです。

すなわち、これらのステップと自分で弾き出す数字をなくしては

「この物件は高額なのか、安いのか」

「この物件には問題があるのか、ないのか」

が全く判断できず、投資する気持ちがあったとしても、不安の方が多すぎてとても決断する気持ちにはなれません。

けれどもこれらの5つのステップを正しく踏むことで目に見えない部分を全てあぶり出し、かつそれらの材料が全て売り主との交渉に使えるわけです。

あなたの物件はこのような問題がある

あなたの出す売却希望価格は、この理由でこれだけ高額だ

等、事実に基づいた交渉がビシバシ行えるわけです。

論理思考は万国共通語の一つですから、この事実と数字に裏打ちされた交渉は十分にアメリカ人に通用するのです。

またマルチファミリー(複数世帯住宅)物件を精査する上では、これ以上のアクロバット的な方法はまず必要ありませんから、マルチファミリー(複数世帯住宅)物件に投資される方は今日までの5つのステップを参考にされることをお薦め致します。



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