キャップレートと評価額を算出してみる

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

マルチファミリー(複数世帯住宅)物件を見定める為の5つのステップ

  1. 家賃収入の事実確認
  2. 経費の事実確認
  3. 純収益の算出
  4. キャップレートと評価の算出
  5. ローン支払いと利益(あるいは自己資本配当率)の計算

についてお伝えしています。

昨日の

3.純収益の算出

までで、投資対象としている物件の精査作業については山を越えていますので、ここからは核となる数字を算出して大きな方向性を定める作業となります。

今日は4番目のステップ、キャップレートと評価額についてお伝えさせて頂きます。

キャップレートと評価額の算出

キャップレート」はアメリカの公立大学では数学を専攻していれば3年制あたりに出て来る概念です。

その為アメリカ人でもキャップレートの話になると、途端に難しく感じて嫌になる方も多くいますが、実際のところはキャップレートという言葉が難しく聞こえるだけで、計算自体は何ら難しいものではありません。

キャップレートの算出

計算式としては、キャップレートは昨日までにお伝えさせて頂いた「総収益」を「物件購入金額」で割ることで算出されます。

キャップレート= 総収益 ÷ 購入金額

この式を見て、

「購入金額が分からないのに、どうやってキャップレートを計算するの?」

と疑問に思われるかもしれませんが、購入金額の部分については何ら難しい代数のような計算式が必要とされるわけでもなく、「BPO(Broker’s Price Opinion:ブローカー提案価格)とは?」でお伝えさせて頂いた販売価格比較接近法を使用する形で算出できます。

あなたの不動産取引仲介業者にお願いすれば、BPOで出される市場価格を算出してくれますので、それを購入金額に当てはめて

キャップレート= 総収益 ÷ 購入金額

の式でキャップレートを算出すればよいのです。

ただし、この方法でキャップレートを計算せずとも、大抵の経験ある不動産エージェントやブローカー達は地元の不動産市場の平均キャップレートを理解していますので、わざわざ計算するまでもなく彼らの聞くことでキャップレートがは大抵分かります。。

とはいえ、私(佐藤)は一つひとつに対して慎重に、石橋を叩いて進めたい性分ですので(本来はずぼらですが。。)

  • 自分でBPOを算出してキャップレートを計算する
  • 地元の不動産市場に精通するブローカーの意見を聞いてみる

の双方の情報でキャップレートの落とし所を決定しています。自分のみ、あるいは地元ブローカーの意見のみに偏るよりも、キャップレートがより正確に近くなる為です。

そしてキャップレートを使用して、次の物件評価額を算出します。

評価額の算出

評価額は物件の価格交渉に直接使いますので、非常に大切な数字です。

結局のところ、昨日までに「総収益は最も大事な数字です」とお伝えしましたが、その理由はまさにここ、総収益を使って物件の「評価額」を決定するためです。

この物件の評価額は総収益を上記で算出したキャップレートで割ることで計算が出来ます。この評価額とは前述のキャップレート算出の式

キャップレート= 総収益 ÷ 購入金額

の購入金額(= 評価額)と同義です。

ただし同義とはいえ、パンフレット等に記載されている物件価格は、そのままの価格で購入してしまうと

売り主の言い値 = 購入価格

となってしまうわけですが、ここでいう評価額とはすなわち、あなた自身が判断する物件の価値の意味になりますから、投資家としてのあなたは

自分の評価額 = 購入価格

にもっていかないといけないわけで、この評価額を交渉の材料として算出する上で

評価額(あるべき購入価格)= 総収益 – キャップレート

の式を使います。

軽くおさらいをしますが、この式での総収益とキャップレートの数字の根拠は

総収益 = 昨日までに自己算出した総収益(総収入 – 総支出)

キャップレート = (総収益 / BPO)により算出されるキャプレート、もしくは地元ブローカーの意見

です。

これらの情報をもって評価額、すなわちあなたが売り主と交渉する際の提示価格を導き出していきます。

実例で計算してみる

そこで、このシリーズで昨日までも使用している実際の物件の数字で検証してみます。

この実例のキャップレートは8.74%でした。この数字は当時の地元ブローカー達に認識されていたキャプレートに極めて近いものでした。

そこで、総収益をこのキャップレートで割ってみます。

$22,368(総収益)/ 0.0874 = $255,926

です。すなわち、この$255,926という数字が対象物件のあるべき評価額なのです。そして千ドル以下を四捨五入して

$256,000

とまとめ、この$256,000という評価額をもってあなたから売り主への提案価格とするのです。

結果として、あなたはこの物件を$256,000以上の価格で購入してはいけないということになります。

売り主の希望売却価格との差額を考える

ちなみにこの物件の売り主による物件提示価格はいくらだったと思いますか?

なんと、売り主が市場に出していた際の物件価格は$338,000です。

$338,000(売り主の売却希望価格) – $256,000(あなたが提示するべき評価額)= $82,000

実際に評価額を算出してみると、実に$82,000もの差が。。これはもう、半分笑ってしまいますね。

とはいえ、現実問題としては笑い事ではなく、売り主の言い値でローンを組んで購入した場合は深刻な事態に陥ってしまうのです。

例えば、この$338,000の物件を

頭金 10%
金利 7.5%

でローンを組んだ場合、詳細の計算は割愛しますが、年間のローン返済額は$25,524となります。

これに対し、昨日までに自己試算した際にはじき出されたこの物件から現実として見込める総収入は$22,368でした。ということは、

$22,368(年間総収入)- $25,524 (年間ローン返済額)= -$3,156

と三千ドルちょっとマイナスとなり、$338,000で購入してしまうと家賃収入ではローンすら返済できないことになってしまうのです。

現実としてはローン返済のみならず、それ以外にも固定資産税、保険、光熱費、設備取替積立等の支出の項でお伝えした項目が収入から賄われるべきなのですが、ローンすら返済出来ないとなると事は深刻です。

$338,000の言い値で購入どころか、それを多少値切って$300,000で購入したとしても、

「$38,000も値切ったぞ!」

などと喜べるものではなく、結果としてはたちまちマイナスのキャッシュフロー(純利益)に陥ってしまうのです。

プロのブローカーの売り方

ちなみに、念のためのお伝えとなりますが、

「$338,000もの売却希望価格を先に提示してくるとは、この売り主を担当した不動産ブローカーは素人レベルで不動産市場を分かっていないやつが算出したのでは?」

というと、実際はその正反対で、この物件を担当したのは全米でも指折りに入るブローカーだったのです。

これは売り主の立場に立てばよく分かることで、この売り主をサポートしたトップブローカーも最初から

「$338,000で売るぞ!」

などとは微塵も思っておらず、

「価格交渉で有利に持っていく為にも、潜在見込み収入と低めの支出をもって総収益を目一杯上げて、評価額を最大に上げておこう」

と考えていたはずで、そこから徐々に値下げに応じて、それでも十分に儲かるところで売却すればよし。仮に希望者が言い値そのままで購入すればしめたもの、という算段があったはずなのです。

そのような売り主とブローカーの心理もよく掴んだ上で、全体像を捉えることが大切です。

このシリーズの最後として、明日はローン支払額の算出とキャッシュ・オン・キャッシュ(cash on cash:自己資本配当率)についてお伝えさせて頂きます。



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