家賃収入を事実確認してみる – ③

こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。

マルチファミリー(複数世帯住宅)物件を見定める為の5つのステップ

  1. 家賃収入の事実確認
  2. 支出の事実確認
  3. 純収益の算出
  4. キャップレートと評価額の算出
  5. ローン支払いと利益(あるいは自己資本配当率)の計算

の一番最初、

  1. 家賃収入の事実確認

についてお伝えしています。

昨日お伝えした

「ユニットミックスとレントスケジュール」

は最も大切な検討資料です。通常は公に公募されているような投資物件であればきちんとした紹介パンフレットがあるはずですが、そこに記載されている「ユニットミックスとレントスケジュール」はパッと見て、その物件が自分の理に叶いそうかどうかを教えてくれます。

けれども、公の情報に記載されている数字が現実を現しているかというと、「正確であることはほぼない」と断言してもよいもの。

家主が一見いい人に見えても(いい人に見たくなってしまうものです)、自分に置き換えればよく分かることですが、売りたい人は誰だって自分の物件をよく見せたがるものなのです。その他に数字は合法の範囲で精一杯魅力的に見せようとしますから、ある意味記載される家賃収入の数字は「将来の潜在見込み収入」を記載してしまうのは当たり前なのです。

本日も続けます。

空室とその他の収入

昨日まで、投資対象とする物件の「実質見込み収入」を確認する大切さをお伝えさせて頂きました。

とはいえ、昨日までに検証してきた、物件を購入した後の実質見込み収入というのは、あくまで「現在の家賃収入でかつ満室になった状態」の収入です。

現実には、あなたが物件を購入してから売却するまでの期間、毎月、毎年、全戸が完全に埋まった状態で完璧に空室を出さないなど、ほぼあり得ないこと。

そのため、投資パフォーマンスを検証する際には必ず

  • 住居人の入れ替わり期間
  • 空室期間

という、家賃収入が入らない期間を考慮する必要があるのです。

それと同時に、コインランドリーや駐車場等の、家賃以外の収入についても考慮しておく必要があり、通常は、家主が出してくるプロフォーマ(見込み試算表)にはこれら家賃収入以外の収入口も記載されているものです。

ところが、です。

昨日お伝えした家賃と同様に、この空室と家賃以外の収入がプロフォーマ(見込み試算表)に記載されてあったとしても、まずそこにある数字は

潜在見込み収入(Future potential income)

であって、

実質収入(Actual income)

ではないことがほとんどなのです。

大抵は空室率は低く見積もられ、家賃以外の収入については誇張された数字が記載されているもの。そこで、投資家のあなたの作業としてここでの大切な鍵は、「将来の空室率と家賃以外の収入」の見込みを立てることです。

日記を毎日書くなどして、自分が過去にどこで何をしていたのかを知るのは良いことではありますが、それ以上に大切なのは、自分が将来どこで何をしているかであり、

別に例えるなら車の前方のフロントガラスは広く、後方のリアガラスが比較的小さいのと同じ理屈で、後ろを見ることも大切ですが、それ以上に前を見ることのほうがよほど大切、という話なのです。

常識的に考えれば、貸しに出されずに空室となるのであればそこから家賃収入は入らず、キャッシュフローの結果は低いものになります。

そこで、仮にプロフォーマ(見込み試算表)に空室率が記載されてあったとしても、その空室率が本当かどうかを地元の不動産管理者に問い合わせて確認する必要があります。

大概は地元の不動産管理会社であれば、その地域の賃貸市場において空室率がどのくらいか、そこに記載されている空室率が平均よりも低いのか高いのかを、結構な確率で言い当てるものなのです。

空室率もまたその地域の賃貸市場の需要と供給という2つの変数に多いに影響されますから、日々不動産管理に従事するマネージャーたちの感覚は結構な確率であてになります。

また別の方法としては、月間のレントロールを使い、賃貸契約後の入居日から空室を計算することもできます。

プロフォーマ(見込み試算表)の実例

通常、プロフォーマ(見込み試算表)上の収入欄には売り主が物件の収入と空室率を記載しています。

その数字が示すのは家賃収入から空室分を差し引き、そこに物件からもたらされる家賃以外の収入を加えたものなのです。

下記は典型的なプロフォーマ(見込み試算表)の参考例で、数字は実際のものを日本語訳で記載しています。ちなみに、この数字は昨日お伝えした家賃収入を検証する際の実例と同じ物件のものです。

この実例では、物件の売り主は年間の家賃収入総額が$45,120で、年間の空室率が7%、そして家賃以外の収入が$480あると記載しています。この数字だけを見れば良好な投資物件です。

ところが、一番上の表面家賃収入に記載されている$48,000という数字。これは前回お伝えした「ユニットミックスとレントスケジュール」の中に記載されていた、実質収入ではなく、潜在見込み収入の数字でした。

これをアスタリスク(*)がついていた家賃を、昨日検証した現在の実施の家賃に数字を代えてみると、下記のようになります。

いかがでしょうか。

ここで注目頂きたいのは、私が差し替えた数字は家賃収入のみです。この家賃という一つの変数を代えただけなのに、物件の総収入が$5,669($45,120 – $39,451)も少なくなってしまいました。

この金額はかなりの差ですし、とりわけあなたが家賃収入のみにその収入口を頼っているのであれば、この差はかなりの痛手となるはずです。

3つの数字を比較する

そこで、3種類の合計収入の違いをみてみます。

売り主のプロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入:$45,120
前年の実質の家賃収入:$41,800
自分の調査後の試算:$39,451

最初にプロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入と昨年の実際の収入を比較してみましょう。

まず分かるのは、プロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入は昨年の実際の家賃収入よりも$3,320($45,120 – $41,800)も多く計上されていることが分かります。

プロフォーマ(見込み試算表)に使用されている数字はその地域の賃貸市場の平均から考えられる潜在見込み収入ですので、決して詐欺などではないのですが、要は家主は

「あなたがこの物件を購入して運営を改善していけば、最大このくらいまで家賃収入はアップできるのですよ。」

と暗に謳っているわけです。

けれども見込みはあくまで見込み。およそ投資活動においては楽観的な数字を軸に物事を考えるべきではなく、現実と照らし合わせ、かつ最悪の数字で検証しておく必要があります。

そのため、私(佐藤)が投資用のマルチファミリー(複数世帯住宅)物件にオファーを入れる時は、

売り主のプロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入
前年の実質の家賃収入

これらの2つは無視し、根拠に裏打ちされた試算の数字だけを使います。

これは潜在見込みなのではなく実際の数字に基づいて計算されたものですから、大家と十分な交渉材料となるのです。いわゆる論理思考は万国共通ですから、事実に基づいた数字を家主に見せることは、もっとも交渉を有利に導く方法なのです。

まとめ

このように、家賃が実際のものであるかどうかを検証することは手順を知りその作業に慣れてしまえば決して難しくありません。

昨日もお伝えしたように、家賃収入というものは大抵は誇張されていますし、プロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入と自分で試算した収入の違いが千ドル単位であったとしても驚くには値しません。千ドル単位の差は普通にあるものなのです。

繰り返しとなりますが、プロフォーマ(見込み試算表)上の数字はあくまで潜在見込み収入です。

そして潜在見込み収入とは今日の賃貸市場の数字を使って、全戸満室の状態で、かつ家賃収入以外の収入が100%入った場合の収入でした。

結果としては、自分で実際に検証してみると、プロフォーマ(見込み試算表)上の家賃収入というのは現実離れした数字であることがハッキリと見えてくるはずなのです。

実際の家賃収入について検討できたところで、次は「費用」について考えてみましょう。

明日に続けます。



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